〈第五十四話 それは、まさに芸術品だった〉
レンに言われるままに、マジックバックを斜め掛けに持った途端、一瞬だが体が熱くなった。
「上手くいったね。……あぁ、それから、マジックバックに入る容量だけど、この部屋の家具と装飾品の殆ど収納出来るから。それじゃ、また後で」
何が上手くいったの? ……え? この部屋、全部の家具と装飾品全部って言った? ちょっと待って!!
とんでもないことを、さらりと告げられる。
あまりのことに驚愕し、声を上げ止めようとしたが、その隙もなく、レンはさっさと部屋を出て行った。勿論、朝食は完食済みだ。
マジックバックの説明それだけ? もうちょっと訊きたかったけど、仕方ないか。頼んだ物を、工房まで取りに行ってくれたんだから。
別に頼んだ物は、簡易結界の魔石だ。
ちょうど、希望する大きさの物があったから、それを四個追加購入した。
マジックバックの値段も合わせて、白金貨九枚。金貨に換算すると、九十枚。
金貨一枚で、一か月間何もせずに暮らせるから、七年以上何もしなくても暮らせる金額だ。
すごく高い買い物だが、ココ曰く、決して高くないそうだ。寧ろ、かなり安いらしい。
ココの疑問に、「マジックバックの原料はムツキから受け取ったものだし、買い取った魔石の値段も差し引いてる。だから、これで妥当だ」と、レンは答えた。
勿論、即金で支払ったよ。飲み屋兼食堂で、そんな大金出せないでしょ。どんな悪者が見てるか分かんないしね。店を出た瞬間、グサッと刺されたら大変だ。
で、マジックバックだけど、早速何か入れてみよう。
ポーションを取り出し、試しに入れてみた。バックの中を覗き込んでも、小瓶はどこにもない。
へ~~。本当に、亜空間に収納されたみたいだ。
今度は取り出してみようっと。
そう思って、マジックバックに手が触れた瞬間、空間に文字が現れた。
「なっ!! 何これ!?」
【上級ポーション×1】
何が収納されているのか、瞬時に分かるシステムなの? これって、超便利じゃない。
面白くなって、種類が違う物を色々入れてみた。
【上級ポーション×2】
【上級ポーション(毒)×1】
毒消しの付加が付いてるのは、(毒)って記載されてるのか……。ポーションの種類が分類されてるのは、すっごく助かる。
【魔石(大)×2】
【魔石(中)×3】
【魔石(小)×1】
魔石も分類されてるよ……。超ハイスペック!!
職人としてのレンの凄さに、私は感動する。
その様子を側で見ていた、皆も感嘆の声を上げた。
「取り出す時は……」
「頭で思い浮かべるか、項目をタップしてみたら」
ココがアドバイスをくれる。その通りやってみた。
取り出すのは、上級ポーション。
すると、項目が【上級ポーション×2】から【上級ポーション×1】へと変化した。
「ほ~~」
凄い。凄すぎるよ!! レン。
「ここまで、完成度の高いマジックバックは見たことありません」
「芸術レベルだよね」
だよね。
サス君とココの言葉に、心から賛同するよ。シュリナとヒスイも、うんうんと頷いている。
私は嬉々として、鞄の中身を全部マジックバックに移した。かなり不格好で重かったはずだが、全く重さも感じない。勿論、不格好じゃない。
うん!!
ハンターには絶対必要な品だ。かなり高いけどね。
……あれ?
全部入れてから気付く。
項目の一番最後に、一センチ程の幅の黒い棒が記載されていた。
もしかしてこれって……空きスペースを記してるの?
お待たせしました(〃⌒ー⌒〃)ゞ
最後まで読んで頂き、ありがとうございますm(__)m




