〈第五十三話 最高のパーティー〉
シュリナの言う通りだ。
【鑑定】のスキルを使えば、セッカとナナの状態を確認することが出来たのに。
浄化が進んでいることも、進化したことも容易に分かったはずだ。
あ~~。間抜け過ぎる!!
そう嘆いた時だ。ヒスイに止めを刺された。
「ムツキって頭悪くないし、回転も速いけど、変なところで抜けてるよな~~」と。
抜けてる……
そうだよね。抜けてるよね。
ヒスイに止めを刺された私は、ソファーに倒れ込むと、膝を抱えてふて寝する。
レンが苦笑するのが見えた。
しばらく、ほっといて。
そんな私を見て、シュリナはヒスイを怒る。
「言葉を選べ!!」と。
シュリナもね。
私は心の中で突っ込む。
「……ムツキ、完全に拗ねちゃったよ」
ココが私の背中を前足でつつく。
「「私たちは、そんな主様が大好きです!!」」
セッカとナナは嬉しいことを言ってくれる。
でも、抜けてるって思ってるんだよね。
「ムツキさん。女性は少し抜けてた方が魅力的ですよ」
拗ねた私に、オロオロしたサス君は、慰めようとするが全然慰めになっていない。
「……魅力的じゃなくていいもん」
小さい声でぼやく。
「このアホが!!」
「「サスケ様!!」」
セッカとナナに詰め寄られたサス君は、ココにボコボコにされているようだ。背後で、サス君とココが暴れているのが聞こえる。
たぶん、シュリナとヒスイは、そんな私たちを呆れながらも、優しい目で見ているだろう。
平和な時間だった。それを破るように、
「クックック……アハハ、腹いてぇ~~」
突然、背後から大爆笑が起きた。レンだった。
私は驚いて起き上がると、腹を抱えて笑っているレンの姿が目に入った。どうやら、ツボにはまったみたいだ。
どこに、大爆笑のスイッチがあったの?
私は首を傾げる。
サス君とココは暴れるのを止め、レンを凝視する。サス君もココもそうだが、笑っている本人以外、全員、大爆笑するレンを見詰めていた。
「…………あ~~。本当に可笑しかった。君たち、本当に仲がいいよね」
そう正面から言われると、照れますね。
でも、私自身もそう思う。だから、こう答える。
「最高のパーティーだからね」と。
「「主様!! 私たち、これからも一生懸命、主様に御仕え致します!」」
セッカとナナが涙ぐみながら、ソファーに座っている私に詰め寄る。
「ありがと。セッカ、ナナ」
よしよし。私は小さなメイドさんの頭を撫でる。
セッカとナナはクシャと顔を歪め、泣き笑いの何とも言えない表情をした後、「「朝ご飯の用意をしてきます!!」」と告げ、部屋を出て行った。
「レンも食べてくでしょ」
「いいのか?」
「勿論」
「じゃあ、ご相伴に与ろう」
私はにっこりと微笑む。その後、表情が僅かに固くなる。
「……ところでさ、レン。成長でなく、進化なんだね」
反れていた話を元に戻す。
「ああ。成長でなく、進化だ」
「絶対に?」
「絶対だ」
念を押して訊いてくる私に、レンは僅かだが眉をしかる。
「別に、レンを疑ってるわけじゃないの。前にね、デンがセッカとナナは成長する武器だって言ってたんだよ。進化ではなくてね」
進化と成長は意味合いが全く違う。
そう思うのは、私だけかな。
「……こう言った方がいいか」
小さな声でそう呟いた後、「レベルアップした」と言い直した。
「レベルアップ?」
「魔法でもそうだと思うが、初級から中級とかにレベルアップした時、威力も大幅に成長していただろう。それと似たようなものだと思ったらいい」
なるほど……
中級から上級にレベルアップした時、全体魔法が使用可能になった。それと同じ様なものってことか。
「うん。それなら、よく分かった。中級から上級にレベルアップした時、全体魔法が打てるようになったからね。あれは、進化って捉えてもいいかな」
全体魔法を放ってみて実感出来た。
あれは、レベルアップじゃないって。
一度の魔法で、レベルの弱い魔物なら一掃出来る。
放つ魔力を上げれば、それだけ繰り出される魔法の威力も当然増す。まぁ、その分、コントロールは難しくなるけど、それは練習次第だし。
とにかく、中級と上級には大きな落差があるのだ。
セッカとナナがどんな風にレベルアップしたのかは、後で、実戦で確かめてみるしかないよね。そんなことを考えていると、
「ちょっと待って! ムツキ、上級クラスにレベルアップしたのか!?」
レンが慌てて尋ねてきた。
「幾つかはね」
「幾つかって……」
レンは呆然としたように、小さな声で呟く。
私はこの時、種族に関係なく、中級から上級に上がることがどれ程凄いことかーー
これっぽっちも分かっていなかった。
お待たせしました(〃⌒ー⌒〃)ゞ
楽しんで頂けると嬉しいです。
因みにデンさんは、セッカとナナを作ったドワーフさんです("⌒∇⌒")
それでは、次回をお楽しみに(*^▽^)/★*☆♪




