〈第四十七話 ロリコンですか?〉
「ムツキ、昼間のあのウサギと、どんな関係なの?」
「怒ったりしないから、正直に言ってごらん」
屋敷に戻って来た途端、変態双子は待ち構えていたかのように、私に詰め寄る。
相変わらず、近いなぁ。
顔は笑ってるけど、目は笑っていない。二人とも。前はそんな二人が怖かったが、今はさほど恐怖を感じない。
ましてや、ミナトのことを知ってることに違和感持たない私って……
それって、慣れてきたこと? うっわ~、絶対嫌だ。
「ミカとロイには関係ないと思うけど」
二人の目が一段と細く、鋭くなる。
「「関係ないね……」」
寒い。若干、周囲の温度が下がった気がする。
そう言えば、ミカとロイは魔力持ちだった。翠の大陸内でも、かなりの魔力持ちだったはず。
「……この際だから、はっきりと訊いときたいんだけど、二人とも、私に何を求めてるの?」
鈍い私でも、二人が私に執着しているのは分かる。
匂いがいいとか、抱き心地がいいとか言って、距離を詰めてくる。
だけど正直、いまいち、変態双子の気持ちが分からない。
「決まってるじゃないか。ムツキと一緒にいたいんだ。出来ることなら、後宮に閉じ込めて、僕たち以外と会わないようにしたい」
「私もロイと一緒。ムツキを私たちだけのものにしたい」
完全な変態発言だと、気付いていないところが怖い。
その台詞を、にっこりと微笑み、妙な雰囲気を醸しながら言うところが、尚更怖い。
「「「「…………」」」」
シュリナたちは無言だ。
周囲で様子を伺ってる獣人のメイドさんと従者たちは、全員青い顔をしている。
セシリアとミレイは口元をヒクヒクさせながら、私たちのやり取りを聞いている。口を挟まないところが、さすがだ。
「……私の意思を無視して?」
「ムツキの意思は尊重するよ。必ず」
どこが?
「私はムツキの体と心が欲しいの」
「「だから、僕(私)の側に、番になって」」
十四歳の子供に何言ってるの?
心と体……もしかして、
「二人とも、ロリコン?」
「「違う!!!! 絶対に違うから!! ムツキだから、ムツキが欲しいの!!!!」」
そんなに必死で訂正されたら、尚更疑ってしまう。
私の眼差しは正直だった。
「ロリコンじゃなかったら、ペット?」
「更に酷くなってる!! 僕らは番になってって、言ったはずだよ」
番……?
「それって、どういうこと?」
「……番の意味分からない?」
やけに疲れた声で、ロイが尋ねる。
いや、言葉の意味は分かるけど……
「言葉の意味は分かるけど、どうして、そう思うのかが分からない」
「真っ向から否定したぞ」
「それも、抉ってる」
「更に塩をすり込んでる」
外野が騒ぎだす。
誰が言ったの。聞こえてるんですけど。
私を見る目が、何か残念な子を見るような、生温かい眼差しになってる。……何か、変なこと言ったかな?
「……ムツキって、誰かに恋とか、愛しいとか思ったことある?」
ミカが尋ねる。
「恋は分かんないけど、愛しいっていうか、大切な存在はいるよ。……サス君にココ、シュリナにヒスイ。ミレイやセッカにナナでしょ。それから……」
「分かった」
ロイが止める。
分かったって、何が?
「ムツキが、まだまだ子供だってことが」
「ムツキは、そういう方面はほんとに子供ね。通りで、全然伝わってなかったはずね。それがはっきり分かって良かったわ」
「……? まだ、十四だから、子供だけど」
妙に納得しているロイとミカに、私は首を傾げる。
さっきと全く違う優しい目で、ロイとミカは微笑むと、私に謎の言葉を告げた。
「ムツキ、これまで悪かった。僕は急ぎ過ぎた」
「ごめんね、ムツキ。これからは、ムツキのスピードに合わせるから」と。
謝罪されてるのかな。
私以外は、その意味を正しく理解しているようだった。
誰か、通訳して下さい!!
「「「「自分で気付け!!」」」」
変態双子に負けず劣らず、綺麗にハモッたシュリナたちでした。
最後まで読んで頂き、ありがとうございましたm(__)m




