〈第四十六話 これはデートかな?〉
屋台で、自分とミナトの分のモモスの紅茶とパイを買う。
勿論、従魔たちとの分もだ。四人前じゃなくて、十人前だけどね。
公園にあるベンチに座り、モモスのパイを頬張る。
何これ!? マジ、美味しいんですけど。瑞々しい果肉が最高だね!!
水分の多いモモス(桃)のパイはあまり聞かないけど、意外にいける。ミレイ作れるかな?
「遠慮なく、食べて」
代金を受け取らずに、私はミナトにすすめる。
「はい。頂きます」
「どうぞ。……それで、ミナト君、ハンターになったんだね」
えっ、何驚いてるの?
だって、胸当て装備してるよね。
「ムツキさんが、背中を押してくれたので……」
「ミナト君。さんはなくていいから、それに敬語もなし」
「何言ってるんですか!? ムツキさんはゴールドじゃないですか」
「でも、歳は、ミナト君の方が上だよね」
声の感じから、たぶん、ミナトは歳上だ。
十代後半か、二十代前半ってとこかな。
「そうですが……」
納得は無理そうかな。追々(おいおい)でいいか。
「それで、何の職に就いたの?」
「…………一応、狩人に」
そう答えるミナトの声は、とても小さかった。
「へ~~。狩人かぁ、ミナト君にピッタリだね」
えっ、そんなにおかしなこと言ったかな?
弾かれたように、私を見上げる黒ウサギに首を傾げる。
「……笑わないんですか?」
「何で?」
「ウサギが狩人になったんですよ」
「だから?」
「…………」
ミナトは黙り込む。
まぁ、言いたいことは分かるよ。
狩られる立場である草食動物のウサギが、反対に狩る側に回るんだから。そんなこと言ったら、ハンターになること自体がおかしい話になる。でも、それは違う。
色々な種類がある職種から、〈狩人〉の職を選んだのはミナトらしい。
「〈狩人〉って、魔物を狩るだけのスキルじゃないでしょ。
魔物を感知するスキルも、気配を消すスキルもあるよね。それって、最高の防具じゃない。違うかな?
それに、意外と〈狩人〉って運動能力が必要だよね。木の上とか、岩場とかに身を潜めるし。ミナト君はジャンプ力もあるし、腕力もありそう。ミナト君らしい選択だと思うよ」
「…………ありがとうございます」
俯くミナトは、小さな声で礼を言う。
どの世界も、多かれ少なかれ差別はある。理不尽でもね。
ましてや、差別が全くないない世界が存在するとは、これっぽっちも思ってもいない。
そして少数派は、どの世界でも弱い。これ、常識。
いくら嘆こうとも、弱い立場に生まれてしまったものは、今更どうしようもない。
要は、どうしようもないと諦めてしまうか、そうでないか、それだけの違いだと思う。
ミナトは諦めなかっただけだ。
「それで、レベル十五になるまで、この近くでレベル上げするの?」
「そうですね。ギルドの依頼をこなしながら上げていこうかと」
この近辺に、レベルを上げれる魔物は少なかったはず。
「ミナト君、今、依頼受けてる?」
「いいえ」
「だったら、ダンジョンに潜ってみない?」
「えっ!? 俺が、ダンジョンにですか!?」
そんなに、驚くことかな?
「そう。実は、私も魔法の訓練をしたくて、朱の大陸に新しく出来た〈洞窟のダンジョン〉に再挑戦使用かなって思ってたんだ。だから、もしよかったら、一緒にどう?」
我ながら、妙案。
訓練も出来るし、癒しも確保。
『『『『おい!!』』』』
従魔たちの突っ込みは、当然、一切無視。
「挑戦したいのはやまやまなんですが、一か月以内に戻って来れる可能性が少ないので……」
まぁ、そこがネックだよね。でも、心配ご無用。
「大丈夫。転移魔法だと一瞬で行けるよ」
「…………転移魔法ですか?」
あんぐりと口を開けてるミナトに、私はにっこりと微笑んだ。
「すみません、ムツキさん。俺、旅券持ってないので、今すぐ朱の大陸に行くことは出来ません」
申し訳なさそうにミナトは断る。
「……直接行けば大丈夫」
「それは駄目です!」
だよね~。グスン……。
次回をお楽しみに(*^▽^)/★*☆♪




