〈第四十五話 思うのは自由だよね〉
リーンの森から戻って来た、次の日の昼過ぎ。
私たちはホルンのハンターギルドを訪れた。
ギルドに来たのは、二度目。
今日来たのは、ヒスイの従魔登録のためだ。
一緒に旅をするなら、絶対に登録しとなかくちゃいけない。ヒスイも、一瞬眉をしかめたが、承諾してくれた。
こればっかりは、ハンターのルールだから仕方ない。ごめんね。
緑竜を見て、誰がビャッコ様と気付く?
実際、正体を知っている人は、ほんの極、極、僅かな人たちしかいない。
なら他の人は、ヒスイをどう見てるかっというと、そのまんま緑竜の幼体にしか映らない。それも、魔物の最上位種の竜にね。
なので、街に入る時とかは身元保証人が必要になる。
彼らと従魔契約を交わした者がね。
ホルンのハンターギルドは、大衆食堂の横に併設されている。
一応、食堂は一般の客も利用出来るが、利用しているの八割は、ハンター関連の仕事をしている人ばかりだ。大概、皆、武器を携帯している。
まぁ、無理もないよね。
昼間から酒臭いし、ガタイのいい大人たちが、木のジョッキ片手に騒いでいる。大声で騒いでるから、パッと見は喧嘩しているようにしか見えない。酒がはいってるから、喧嘩に発展することも多いし。
そんなとこ、誰が入る? いくら、ご飯が美味しくて、ボリュームがあって低価格でもね……。私でも遠慮するかな。落ち着かないから。
「あれ? あそこにいるのは、ウサギさん?」
ギルドのカウンターに、見知った黒ウサギの獣人が並んでいるのに気付いた。
でも、服が、この前会った時とは違う。係員の制服じゃない。防具を着けてる?
もしかして、ハンターになったのかな?
まぁ、直接本人に聞けばいいかな。
なので、早速、黒ウサギさんに声を掛けてみた。
「ウサギさん、こんにちは」
失礼かなって思ったけど、名前を知りないからしょうがない。
吃驚したのか、その場で飛び上がる黒ウサギに、私は頬を緩める。
マジ、可愛い。
癒されるわ~~。ギュッとしたいなぁ。
でもこの前、抱き付くのは駄目だって断られたし。肉球は触らせてもらったけど。
今日も、触らせてもらえるかな?
長い耳をいれて、私と同じくらいの身長だ。
ウサギの獣人として大きいのか、小さいのか分かんないけど、抱き易い大きさなのは間違いない。
頼んでみようかな。
『何、ボケたことをぬかしてる!!』
『ムツキ。はしたない真似をしようとするな』
ヒスイとシュリナが念話で私を叱りつける。
『……ムツキさん、忘れているようですが、獣人は人ですよ』
『それも、青少年だよね』
サス君とココは呆れ気味に注意する。
『分かってるわよ。ちょっと、思っただけじゃん』
思うぐらい、自由だよね。
「…………ムツキ様」
何で、怯えてるの?
そんなに、おどおどした仕草で見上げられたら、尚、頬が緩むじゃない。
「様は止めて。ムツキでいいよ。ウサギさんの名前は?」
「ミナト=ライゼントと言います」
「ミナト君って、呼んでいいかな?」
声を聞く限り、声変わりした青年の声なんだけど、さんっていうより、君だよね。
「構いません。寧ろ、光栄です!」
「良かった~。ミナト君、この後時間ある? ヒスイの従魔登録した後、一緒にお茶でもしない? それから、タメ口でいいよ」
これって、ナンパかな?
「おっ……俺とですか!?」
声が上擦っている。
丸い目が、一段と丸くなる。
そんなに驚くようなこと言ったかな?
にしても、一人称、俺かぁ……意外だけど、それもいい。
「「「「はぁ!?」」」」
綺麗にハモッたね。
ところで、念話忘れてない?
お待たせしました("⌒∇⌒")
最後まで読んで頂き、ありがとうございますm(__)m
さて、黒ウサギのミナト君との出会いは、短編「黒ウサギの決意と自制心」に掲載してます。
もし宜しければ、一度読んでみて下さいね("⌒∇⌒")
それでは、次回をお楽しみに(*^▽^)/★*☆♪




