〈第四十八話 上手く出来るといいな〉
ミナト君に振られ、変態双子から変な宣言をされた次の日。
朝から双子の姿はなく、私は内心ホッとしながら、忙しく動き回っていた。
洞窟ダンジョンに潜る準備のためだ。
結構、色々使ったから補充しとかないと。それに早速、アレを作ってみたいし。
「ミレイ、柑橘系の皮を干したもの持ってないよね」
「ココリの皮とモモスの果肉を干したものはありますが」
紅茶用のものだ。
「う~ん。それを代用して作れるかな。ミレイ、失敗したら困るから、モモスの果肉の方を少しだけもらっていい?」
「モモスの方で宜しいですか?」
「うん。ココリの方は時期が終わったから、使うの勿体ないじゃない。それに、ココリの紅茶、これからも飲みたいし」
モモスの果肉が入った小さな紙袋を受け取る。
「「主様~~。蘇生草と回復草干し終えました!」」
ミレイお手製のメイド服を着た、セッカとナナが駆け寄ってくる。
うん。今日も可愛いね、二人とも。
シュリナとヒスイはベットで爆睡中。サス君とココは洗面所のタイルの上でのびている。
「セッカ、ナナ。走ってはいけません」
「「はい。すみません」」
セッカとナナは、ペコッと揃ってミレイに頭を下げる。
いつもの賑やかな、穏やかな一日だ。
ミレイが仲間になってくれて、本当によかった。今、心からそう思う。
「セッカ、ナナ。そのモモスの果肉を細く切ってくれる?」
「「はい! 主様」」
今から作ろうとしているのは、入浴剤だ。こっちの世界は薬湯かな。
ヒスイの眷族が育てている薬草園を見学させてもらった時に、詳しく作り方を教わった。
作り方は意外に簡単で、下級ポーションにミント系のハーブと柑橘系の皮を干したものを入れ、一晩漬け込む。それを清潔な布で濾したら出来上がり。
で、問題は下級ポーション。
実は、下級ポーション持ってないんだよね~~。
妹さんは、ポーションを作った時に出る沈殿物が再利用出来ますよ、って教えてくれたけど、そもそも、ポーション作った時に沈殿物は出ないし……
下級ポーションだけ、買いに行くべきか。悩むところだよね。それか、水で薄めて利用出来るかな?
取り合えず、水で薄めて作ってみよう!
ボール一杯に水を張り、ミント系のハーブとモモスの果肉を二摘まみ程入れてから、持っているポーションの中で一番級が低い、上級ポーションを三滴程入れてみた。
透明な色が、薄緑色に変化する。
私が入ったお風呂の湯の色に近い。
でも、若干、薄いような……倍、ポーションを入れてみたらどうかな?
もう一個ボールを用意して、作ってみた。
色はかなり近い気がする。
まぁ、失敗しても、入るのは私たちだけだし、別に構わない。
取り合えず、寝るまでこれらをほっとくとして……後は、使用した分のポーションの補充かな。
サス君たちの魔石にも魔力を補充しとかないと。ヒスイの分も用意しとかなきゃ。
入浴剤、上手く作れたら、ジュンさんやシュリ様、ゼロやジェイたちにもあげようかな。使ってくれたら嬉しいな。
休憩を挟み、ポーションを十五本ぐらい作った。
【鑑定】してみると、やっぱり、どれも特上ポーションだった。
半分の七本は付加持ち。毒消しが五本に麻痺解除が二本。
毒消しは緑の小瓶に入れ、麻痺解除は透明な小瓶にリボンを巻き付けた瓶に入れた。付加なしは、そのまま透明な小瓶に。
分別しとかないと、迷うからね。
在庫の分と合わせて、付加なしが十三本。毒消しの付加が付いているのが、八本。麻痺解除が三本。
「これだけあれば、大丈夫かな」
確認していると、起きてきたサス君が、眠そうな声で話し掛けてきた。
「ムツキさん。ポーションを作ったなら、上級になってるのでは?」
上級? あぁ、そういえば、五十近かったような……
早速、【ステータス】画面を開いてみる。
スキルと……
「なってる!! 上級に! 回復魔法も全体魔法可能になったってことだよね!」
確かに、サス君の言う通り、
〈回復魔法(上級 2/100)〉と、記載されていた。
テンション上がる。
目に見えて結果がでるって、いいよね。チートは遠慮したいけど。
「おめでとうございます。ムツキ様」
「「おめでとうございます。主様」」
ミレイとセッカとナナの言葉に、私は満面な笑みを浮かべ、「ありがとう!」と答えた。
「おめでとう、ムツキさん。課題が一つ増えましたね」
「そうだね」
ドワーフのレンとの約束の日まで二週間あまり、その間にやることは結構たくさんありそうだ。
次回をお楽しみに(*^▽^)/★*☆♪




