真の罪人は緑の森に消える
朱色の光りの柱が天に向かって昇った。
その光景は、リーンの森からも確認出来た。
リーンの森に棲む者は、その光りの柱が何を意味しているのか、よく知っている。だから、歓喜した。皆で喜びあった。長い、長い時の中で、光りの柱が昇ることを、彼らはずっと待っていたのだから……
しかし、残念なことに、森に棲む全員がそのことを喜んではいなかった。
「信じられない。……そんなの嘘よ!! ありえないわ!!!!」
一人の女性が取り乱し、叫んだ。周囲の物に当たり散らす。とても美しい容姿をした女性だったが、髪を振り乱し、狂気を含んだ両目は、その場にいる者をゾッとさせた。
恐怖が、その場を支配する。
誰もが、言葉を発することが出来ない。ただ……全員が、女性の怒りが治まるのを願っていた。
女性は高貴な者のようだ。派手な衣装を身に付けてないが、生地は明らかに違っていたし、所々工夫が凝らされていて、手の込んだものを着用していた。それに、周りの物に当たり壊しても、誰も注意しない点からみて、女性が身分の高い者だと想像出来た。
「……何かの間違いでは、姉上」
恐る恐る、少年が女性に声を掛ける。少年が言い終わらないうちに、装飾品が彼に向かって、力一杯投げ付けられた。紐が切れ、バラバラになったネックレスの宝石が床に散らばる。
「間違いだったら、こんなことになってないでしょ!!」
ヒステリックに女性は、弟を怒鳴り付ける。
「ならば、正せばいいのです、姉上。エルフの女王である姉上が選ばれないなど、本来ありえないこと。人間の小娘が選ばれたのは、卑怯な手を使ったからに違いありません。そうでなければ、選ばれることなどありえないのです。ならば、我々の手で救い出さねば! そうではありませんか? 姉上」
「……そうね、アトラス。私はどうかしていたわ。こんなことで我を失ってしまうなど、女王として情けないわ。毅然としていなければ。それこそ、あの方に嫌われてしまう」
エルフの女王は弟の言葉で、落ち着きを取り戻す。周囲に控えていた者たちは、女王が落ち着きを取り戻し安堵した。
「そうです、姉上。……あの罪人は、おそらく、ビャッコ様にも魔の手を伸ばそうとするでしょう。そのために、この森を訪れるはず」
この姉弟は、何を言っているのか理解しているのだろうか。いや、理解してないからこそ、言える台詞だった。周囲に控えている者たちの中にも、苦言を呈する者は誰一人いない。出来ないのか、しないのか、どちらか知ることは、最早無意味なことだった。
ーー既に、賽は投げられたのだから。
「ならば、我々の手でお守りしなければなりませんね。少々、手荒な真似をしても。……その前に、もう一度、ビャッコ様にお会いしなくては!」
エルフの女王は艶やかな顔で微笑んだ。
そして、エルフの女王は湯浴みを済ませ、服を着替え、ビャッコが眠る神殿に向かうため、眷族たちが棲む村に向かおうと屋敷を出た時だった。
悲鳴が里に響き渡った。
これからも頑張って書いていきますので、ムツキ共々、宜しくお願い致しますm(__)m
それでは、次回をお楽しみに(*^▽^)/★*☆♪




