〈第一話 新たな仲間は戦闘メイド〉
一週間ぶりの王都バーミリオン。
その城下街、ギルドの周辺はいつも賑やかだ。良い意味も、悪い意味も。そんな界隈の中で、私たちはかなり目立っていた。
(まぁ、目立つよね)
原因は、シュリナたちじゃないけど。
シュリナはいつもと同様、認識魔法を自分に掛けてるし、サス君は通常モード。トイプードルの大きさだ。ココに至っては黒猫そのものだし。
じゃ、何で? それは、私を挟んで歩いている双子と、私たちの後ろをついて歩く女性の容姿が秀でてたから。
それと、彼女たちが場違いだったからだ。
(メイドに幼女だもんね……)
メイドは洞窟のダンジョンから、ズーと私たちの三、四歩後ろをついてきていた。
「あの~~ミレイさん。どうして、私たちの後ろを歩いてるのかな?」
堪らず私は振り返り、ミレイに尋ねる。
「ムツキ様が、前を歩いているからです」
にっこりと微笑んで答える、ミレイ。
(確かに、前を歩いてたけどさぁ……)
眩しすぎる笑顔に当てられながらも、私は呆れてしまう。
「私たち、ギルドに用があるんだけど、ミレイもギルドに用があるのかな?」
「いいえ」
きっぱりと否定された。
「じゃあ、何で、ミレイは私たちの後ろを、ずっとついて歩くのかな?」
「ムツキ様が前を歩くので」
返ってきた答えは同じ。
「…………」
『……生まれ変わっても変わらぬか』
(はぁ?)
「釣っちゃったね」
「釣りましたね」
(何を?)
「「さすがです! 主様!」」
(…………)
黙り込む私に、従魔トリオは呆れながら呟く。それも、溜め息混じりに。セッカとナナに至っては、何故か私をキラキラした目で見上げてくる。
「…………ミレイ」
呼び掛ける声が、少し低くなる。
「はい。何でしょう」
私の声の低さなんて、ミレイは気にも留めていない。それどころか、反対に嬉しそうに微笑んでいる。
「ミレイはギルドに用があるの?」
「いえ、ありません」
「商業ギルドの仕事はどうしたの?」
「今朝付けで辞めました」
(辞めたって……私たちと一緒に旅をするために? そんなに気に入るようなことしたかな? っていうか、思いっきりが良すぎるよ、マジで。頭、痛くなってきた)
自然と眉をしかめる。
「……つまり、私がギルドに用事があるから、ミレイもギルドに行くってこと?」
「はい。ムツキ様が行く所が、私の行くべき所ですから」
「ミレイの気持ちは嬉しいけど、一緒には行かない。悪いけど」
ミレイがそう言ってくれて、正直、私はすごく嬉しかった。いきなり辞めることは、どうかと思うけど。それでも、私はミレイの同行を認めることは、どうしても出来なかった。どうしても……
「……理由をお伺いしても宜しいですか?」
ミレイの顔から笑みがスーと消える。その目は真摯に、私を見詰める。
「ミレイがそう言ってくれて嬉しいよ。……もし私が、普通のハンターなら、喜んで仲間になった。ううん、違う。洞窟のダンジョンで、ミレイのこと誘ったよ。だけどね、私は目的があって旅をしてる。……ミレイ、正直に言うとね、その旅は危険なの。それが、誘えない理由」
僅かな時間だったけど、ミレイは私たちにとって大切な仲間だった。だからこそ、私は嘘偽りのない気持ちで答える。
その気持ちに対してミレイは、「私が弱いとお考えですか?」と、どこか苦しそうな表情で尋ねた。
私は首を横に振る。
「ミレイを弱いとは思わない。弱いのは、私」
答えた声は、とても小さかった。
「……分かりました。だとしても、私はムツキ様と行動を共にします。それは、私自身が決めたこと。ムツキ様が責任を感じることはないのです。それは、セッカとナナに対してもそうです。彼女たちは、ムツキ様に使えるべき存在。誰よりも、その責は大きいのです。そのための存在と言えるほどに。それを放棄し、堕ちかけたのは、彼女たちが弱かったからに過ぎません。ムツキ様が心を痛める必要はないのです。……確かにレン殿は、彼女たちを構うように言いました。それは、甘やかすことではありません。毅然とした対応で接することです。彼女たちの主として。……差し出がましいことを申しまして、申し訳ありませんでした」
一言一句が新鮮で、私は口を挟めず最後まで聞く。言い終える直前、ミレイは頭を下げた。
最初に反応したのは、シュリナだった。
『気に入った!』
「僕も!」
(ちょっと!!)
慌てる私をよそに、シュリナとココは、ミレイの台詞を聞き同行を認めた。反対に、セッカとナナは黙り込む。
「ミレイ。我々では手が届かない所のフォロー宜しく頼む」
「勿論です。お任せ下さい!! サスケ様」
この瞬間、ミレイの同行が決まった。
(こうなったら、もう何も言えない)
何度もいうけど、全ての決定権は私ではなくシュリナたちにある。観念するしかないよね。でも、本音を言えば、ミレイが仲間になって嬉しい。嬉しいけど。
「ミレイ。くどいようだけど、本当に危険だから。それだけは覚悟しといて」
それでもいいのなら。私はミレイに手を差し出した。ミレイはしっかりとその手を掴むと、嬉しそうに微笑んだ。
「宜しくお願い致します。ムツキ様」
そして、新たな仲間になったミレイと共に、私たちはギルドの門を潜った。
お待たせしましたm(__)m
第三章始まりました。
プロローグが暗い入り方でしたが、基本ほのぼの系です。
それでは、次回をお楽しみに(*^▽^)/★*☆♪




