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射!~Kyudou~  作者: ココロ丸
22/23

清水北高校その弐

一年前の地震でかなりのダメージを受けてました。

弓矢は生きてます。

短い間合いで放たれた矢は次々と的に吸い込まれていった。

あっという間の5本。


「あれは早打ちだよ。この清水北高校の伝統の団体技。」


そう言ったのは豪江高校マネージャーの文だった。


「文さん、知ってたの?」

「うん。全国大会に進む実力を持つ高校だからね。偵察ってところかな、あはは・・」


まぁ、弓道に偵察も何もないと思うけど、確かに興味深い引き方をするから、参考になる事は多いと思う。


「そして、あの独特の引き方、八城工業高校のカーリーさんに似てるでしょ?」

「ああ、それはみんな思ってるよ」

「カーリーさんの引き方はまさに清水北高校の理想。ほぼ完成形なんだと思う」


ということは、カーリーの射を参考にする為にウチと練習試合をしているのか・・・



カーリーに視線が集まる異様な雰囲気の中、八城工業高校は一立目を14中で終えた。

早打ちと独特の引き方を見せつけた清水北高校は16中。

完敗だった。



一立目を終えてすぐ、浅野は選手交代の指示を行った。


「鹿本は1中、隼人に関しては0か・・・」

「ごめんなさい・・・でも、次は・・」

「俺も次は!次はちゃんと出来ますから!」


「ふむ・・・鹿本は雪と交代。少し休むと良い。」

「先生・・・」

「なーに、体調を心配しての事だ。すぐまた出番が来るからな?準備しとけよー」


そういって浅野は去って行った。





「雪君、私と交代だってさ」

「え?鹿本先輩と?隼人じゃなくて?」

「うん。先生が私に気を遣っただけみたい。さ!まだ時間あるけど、可愛い女子ばっか眺めてないで行って来いー」


笑いながらそう言った鹿本先輩だが、その姿は少し寂しげに見えた






「やっぱ弓道の試合って自分の知らない人を見ててもつまらないよね~・・・」

「ははは、一般の人はみんなそう言うよ」


早くも試合に飽きてきた綾乃は、文と世間話をしていた。

・・・文は記録を付けに専念したそうにしているが。


「・・・文?」

「水谷君。お疲れ様~」


「え?何?文、水谷先輩の事知ってるの?」

「ああ。君が綾乃ちゃんだね。雪からたまに話を聞いてるよ。・・・文の友達だったんだね」


「???」


「なんて言えば・・・ああ、そう!水谷君とは弓道を通して知り合ったの!」


キョトンとしている綾乃に文が簡単に説明をする。


「ええと、水谷先輩。一つお聞きしますが・・わ、私の事を雪はなんと言ってます・・?」


突然の質問に水谷は首を傾げたがすぐにニヤッと笑って答えた


「綾乃は可愛い。守りたい人なんだ・・・って」

「ひょえ!?」


「そこまでです水谷先輩・・・。いつ僕がそんな事を言ったんです?」


雪は水谷を軽く小突きながら言った。


「もうすぐ控えに入るのにこんな所で油売って・・・ほら、行きますよ!」

「あはは・・・ごめんごめん。今いくよ」

「綾乃も、文さんは記録とか忙しいんだから邪魔するなよー」

「ふぇ!?・・あ、う、うん!」


綾乃のやつ、本気にしてるのか・・・いや、ないな、ない。


「文、あとでまた話そう。じゃ!」

「うん、頑張ってねー!」

「え?先輩、文さんと知り合い・・」

「さー、行くぞ雪!!さっき負けた借りを返してやるぞ!」

「・・・?わ、分かりました」



水谷先輩、ずいぶん文さんと仲が良い雰囲気だったな・・・というか、文さんって確か豪江北高校と練習試合した時にみ水谷先輩と自動販売機の近くで話していた子に似てる・・。

結構前から知り合いだったのかな?


雪はしばし気になったが、試合に切り替える為、急いで水谷の後を追った。







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





「よ、カーリー。初っ端から皆中なんて相変わらず好調だな。」

「・・・・ゆっきー」


道場内に入った雪は、隅でうずくまっているカーリーに声をかけた。

だが、その返事は妙に暗い。


「ん?どうした?」

「・・・みんな私をじっと見てる。・・・なんか怖い」

「あー・・・あはは・・なるほど」


カーリーも流石に視線を感じるらしい。


「まぁ、気にせず引けよ。上の大会に行けばこんなものじゃないぞ?」

「・・・うん。分かった。ありがとう、ゆっきー」

「うん。俺も頑張るよ」



「八城工業さん、控えに入ってください。」


カーリーを励ましたところで、丁度召集がかかり、僕は弓矢を取った。

そこに、葉月先輩が声をかけてきた。


「雪君、見ていて分かったと思うけど、清水北高校は早いテンポで引いてくるわ。こっちはこっちのペースで引くから、落ち着いて引いてね。」


念を押す。といった感じだった。恐らく射場で早打ちはペースを乱されるのだろう。


「分かりました!」


雪は再度気合を入れ、控えへ向かった。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「ただいまより、八城工業高校対、清水北高校の試合を始めます。・・・起立!・・始め!」



大前のカーリーが矢を番え、打ち起こしを始める。


「・・・・・・・」


やがて会に入り・・・・



キャン!


・・・パンッ!


的中。しかし、視線が気になるのか、緊張しているのか、少し会が短いように思えた。


そして葉月が打ち起こしを始める瞬間



パンッ!


清水北の早打ちが始まった。


キャン!

・・・パンッ!


キャン!

・・・パンッ!



次々と的中させていく清水北高校。


そうか、葉月先輩が言っていた本当の理由はこれだ。


キャン!

・・・パンッ!


自分が引いている時にこんなに的中する音を聞かされては少なからず焦りは生まれる。

しかも、これは後半に、落ちに近くなるほど効果が高い。

高い的中率を出して先に引き終わる。その的中を追う形で弓を引くなんて、焦りが生まれる可能性が高い。




キャン!

・・・パンッ!



通り。一立目から見事に中ててくる。



キャン!


・・・パンッ!


葉月も負けじと的中。

しかし、僕は今までにない焦りと緊張を隠せないでいた。



またぼちぼち書いていくので、よろしくお願いします

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