第63話 受け入れます
「王妃様。エルディア王国より、新たな書状が届いております」
「……また?」
王妃は差し出された書状を受け取ると、静かに封を切った。
しばらくその内容に目を通していた王妃の表情が、僅かに変わる。
「……アストリア王家に連なる者である可能性が高いことが判明した、ですって?」
「さらに――旧アストリア王国領は、同国の滅亡後、エルディア王国へ編入されております。リア様が旧王家に連なる方であるならば、その身分の確認は我が国にも関わる問題である、と。そのため、リア様ご本人との面会、および今後についての正式な協議を求めております」
「…………」
「リア様ご本人との面会、および今後についての正式な協議を求めております」
王妃は書状へ視線を落としたまま、しばらく黙り込んだ。
「……なるほど」
やがて、小さく息を吐く。
「随分と早く、ここまで辿り着いたものね」
「いかがなさいますか」
「……いいでしょう。受け入れます」
その頃、王宮の一室では――。
「ヴァンさん、邪魔でお菓子食べづらいです」
リアは困ったように、自分の膝の上に寝転がっているヴァンを見下ろした。
「別に食えるだろ」
「食べづらいって言ってるんです」
「うるせぇな」
ヴァンは退く気などないらしく、そのまま目を閉じる。
リアは諦めたようにため息を吐くと、テーブルの上にあった焼き菓子へ手を伸ばした。
「……おい。それ、俺が持ってきたやつ」
「別にいいじゃないですか。一個くらい」
「よくねぇよ」
「いただきます」
ヴァンの制止を無視して、リアは焼き菓子をぱくりと口に入れた。
「あっ! お前!」
「美味しいです」
「感想聞いてねぇ!」
悪びれる様子もなくお菓子を頬張るリアを、ヴァンは膝の上からじっと見上げる。
(……俺、こいつと結婚したら、なんか尻に敷かれんじゃねぇか……?)
「…………」
「何ですか?」
「……いや」
ヴァンは答えながら、ふと我に返った。
(って、俺何考えてんだ!)
「――っ!」
「えっ、何ですか?!」
「なんでもねぇ!」
「いや、今なんか一人でびっくりしてましたよね?」
「してねぇ!」
「してましたよ」
「うるせぇ!」
「変なヴァンさん」
「お前のせいだろ!」
「何でですか!」




