第50話 帰りたい……
その頃、部屋に残されたリアは――。
「何なの、さっきの王子様!」
「ルシアスさんと大違いじゃない」
リアは一人、ブツブツと文句を言いながら頬を膨らませていた。
「いきなり連れてきて、しばらくここにいろって……普通に誘拐じゃん!」
しかも、理由を聞いてもろくに説明してくれない。
「俺がそう決めたからって……知らないよ!」
思い出しただけで、また腹が立ってきた。
けれど、しばらくするとリアの表情から少しずつ怒りが消えていく。
「……ナタリーさん、大丈夫かな」
最後に見たのは、リアを逃がそうとしてくれた姿だった。
あの後、どうなったのだろう。
怪我をしていなければいいけれど。
「ルシアスさんも、ノアさんも、オスカーさんも……心配してるよね」
きっと今頃、自分を探してくれているはずだ。
「……早く帰らないと」
ぽつりと呟いてから、リアはふと気づいた。
この世界に来たばかりの頃も、同じことを思った。
――帰りたい。
ただ、あの時とは違う。
あの頃、帰りたい場所は日本だった。
けれど今、リアが帰りたいと思っている場所は――エルディア王国だった。
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