第45話 今日は、建国祭です!
それから数日。
リアは魔力コントロールの練習を続けながら、穏やかな日々を過ごしていた。
闇魔法についても何度か試してみたものの、相変わらず発動する気配はない。
「全然できません……」
リアはがっくりと肩を落とした。
「まあまあ、焦らなくても大丈夫。そのうちできるようになるさ」
オスカーはそう言って、リアを励ました。
その日の夜。
(なんで闇魔法だけ、全然発動しないんだろう……)
リアがそんなことを考えながらぼんやりしていると、ナタリーが声をかけてきた。
「そういえばリア様、三日後は建国祭ですよ!」
「建国祭?」
「はい! エルディアの建国を祝う、年に一度のお祭りです」
「お祭り……!」
リアはぱっと顔を輝かせた。
「王都にはたくさんの屋台も出ますし、夜には街中に魔法の灯りがともるんですよ」
「わぁ……! 楽しそうですね!」
闇魔法のことで落ち込んでいた気持ちはどこへやら。
リアは三日後の建国祭を楽しみに、目を輝かせていた。
ーーー
そして三日後。
建国祭当日――。
朝から王都は、いつもとは違う賑わいを見せていた。
通りには色鮮やかな飾りが施され、あちらこちらから楽しげな声が聞こえてくる。
「そういえば、ルシアスさんとノアさんは忙しいんですか? 今日はまだ見かけてないんですけど」
朝食を食べ終えたリアは、ナタリーに声をかける。
「殿下とノア様は、今日の式典に出席されますので、その準備でお忙しいみたいです」
「式典……?」
「はい。殿下は王族ですから、建国祭の式典に出席されるんです。ノア様も殿下の護衛として同行されます」
「そうなんですね……」
リアは少し残念そうに呟いた。
「ふふ……大丈夫ですよ。式典が終われば、お二人ともお時間ができると思います」
ナタリーは何かを察したように、微笑みながら言った。
「本当ですか?」
リアの顔がぱっと明るくなる。
「殿下たちがいらっしゃるまでは、私と一緒に王都を見て回りましょう」
「はい!」
リアは嬉しそうに返事をした。
――少しして、リアとナタリーは王都へ。
メイン通りまで歩くと、道の両側には無数の屋台が立ち並んでいた。
普段はなかなか食べられない地方の名物料理や色とりどりのお菓子、香ばしい匂いを漂わせる串焼き肉まで、様々なものが売られている。
「わぁ! すごくいい匂いがします!」
リアは目を輝かせながら、辺りを見渡した。
「リア様は、何から食べたいですか?」
「うーん……あっ! あれ、美味しそうです!」
リアが指差したのは、甘い香りを漂わせる焼き菓子の屋台だった。
「では、まずはあちらからにしましょうか」
「はい!」
二人は焼き菓子を買うと、そのまま建国祭で賑わう通りを見て回った。
気になる屋台を覗いたり、珍しい料理を食べてみたり――。
そうして建国祭を満喫しているうちに、あっという間に時間は過ぎていった。
昼を少し過ぎた頃。
「リア」
聞き慣れた声に、リアは振り返る。
「あっ! ルシアスさん!」
そこには、式典を終えたルシアスとノアが立っていた。
「ノアさんも!」
リアは嬉しそうに二人のもとへ駆け寄った。
「美味しいものはたくさん食べられましたか?」
ノアが微笑みながらリアに尋ねる。
「はい! どれもすごく美味しかったです。特に焼き菓子が絶品でした!」
リアは満足そうに答えた。
「ノアさんも食べに行きますか?」
「行きたいところなんですが……すみません。俺はこれから警備隊のところへ戻らないといけなくて」
「そうなんですか……」
「建国祭の間は、王都の警備も増やしていますから」
「お仕事なら仕方ないですね」
「はい。リア殿も、引き続き楽しんでくださいね」
「ありがとうございます!」
ノアはリアに微笑むと、ルシアスへ向き直った。
「では殿下、俺は一度警備隊のところへ戻ります」
「ああ」
ノアは一礼すると、その場を離れていった。
「ではリア様、私も――」
「えっ! ナタリーさんもですか?」
「少し王宮へ戻る用事がございますので」
(ふふ……私の役目はここまでですね)
そんなことを思いながら、ナタリーは二人にお辞儀をし、その場を離れた。
「…………」
気づけば、ルシアスと二人きりになっていた。
(あれ……? みんな行っちゃった……)
リアはきょとんとした顔で、隣に立つルシアスを見上げた。




