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帰りたいのに、帰してくれません。  作者: 希。


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第25話 アヴェリオス王国に着きました。

 翌朝。


 アヴェリオス王国まで、あと少し。


 三泊四日の長い馬車の旅も、いよいよ終わりを迎えようとしていた。


「もうすぐアヴェリオス王国ですよ」


 御者の声に、リアは窓から身を乗り出すように外を覗き込んだ。


「本当ですか?」


 遠くに見える景色が、少しずつ変わっていく。


 やがて、街道の先に大きな城壁が姿を現した。


 その向こうには、青空に映える白い建物がいくつも見える。


「わぁ……!」


 リアの目が輝いた。


「アヴェリオス王国……!」


 初めて訪れる隣国。


 どんな街なのだろう。


 どんな人たちがいるのだろう。


 そして――。


 今回の目的である魔法研究交流会は、どんなものなのだろう。


 期待に胸を膨らませていると、やがて馬車は城門をくぐった。


 王都へ入ると、道の両脇にはたくさんの人々が行き交っている。


 リアは窓の外を眺めながら、きょろきょろと辺りを見回した。


「すごい……!」


 そんなリアの様子を見ていたノアが、ふっと笑う。


「気になるものがあれば、あとでゆっくり見て回れますよ」


「本当ですか!?」


「ええ」


「楽しみです!」


 リアが嬉しそうに笑う。


 その様子を見ていたルシアスは、何も言わずに視線を外へ向けた。


 ――やがて馬車は、王宮へと続く道を進んでいった。


 そして。


 王宮の前で馬車がゆっくりと停まる。


 扉が開かれ、リアたちが降りると――。


「ようこそ、アヴェリオス王国へ」


 王宮側の使者たちが、一斉に頭を下げた。


 リアは少し緊張しながらも、背筋を伸ばした。


「よろしくお願いします!」


 こうして――。


 リアたちは、アヴェリオス王国へと足を踏み入れた。


 王宮へ案内されたリアたちを待っていたのは、一人の青年だった。


「ようこそ、アヴェリオス王国へ!」


 明るい声とともに、青年がこちらへ歩いてくる。


「私はカイン・アヴェリオス。この国の第一王子です」


 そう名乗ったカインは、リアの前で足を止めた。


 そして――。


「…………」


 数秒、リアを見つめる。


(……え)


 カインの思考が、一瞬止まった。


 大きな瞳。


 長いまつ毛に、小さな唇。


 ふわりと揺れる髪。


 そして、こちらを見つめた瞬間にぱっと咲いたような、無邪気な笑顔。


(……可愛い)


 胸が、どくんと大きく鳴った。


「……?」


 リアが不思議そうに首を傾げる。


(やばい。その顔も可愛い)


 目が離せない。


 もっと見ていたい。


 話してみたい。


 もう一度、笑った顔が見たい。


 次から次へと湧いてくる感情に、カイン自身が驚く。


(……あ)


 そして、唐突に気づいた。


(俺、この子に一目惚れしたんだ)


 そう自覚した瞬間、カインの顔にぱっと笑みが広がる。


「そこのご令嬢!」


「は、はい?」


「俺、あなたに一目惚れしました!」


「へっ?」


 リアの思考が止まった。

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