↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
帰りたいのに、帰してくれません。  作者: 希。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
28/65

幕間 ルシアスside (……気に入らない)

「…………」


 部屋に戻ったルシアスは、椅子に腰を下ろした。


 だが、どうにも落ち着かない。


「……なぜだ」


 今日も一日、何かと苛立っていた気がする。


 いや。


 今日だけではない。


 この三日間ずっとだ。


 ルシアスは眉間に皺を寄せた。


「…………」


 ——そういえば。


 馬車の中でも、ずっと同じような感覚があった。


* 


「…………」


 向かい側では、リアとノアが楽しそうに話している。


 リアが何かを言えば、ノアが笑う。


 ノアが何かを言えば、リアも楽しそうに笑う。


「…………」


 ルシアスは無言で窓の外へ視線を向けた。


 (……なぜ、あの二人はあんなに自然に隣にいるのだ。)


 距離が近い、というだけではない。


 そこに“違和感がない”ことが、妙に引っかかる。


 本来なら、気にする必要のない光景のはずだ。


 リアが誰と話そうと、それは彼女の自由だ。


 ノアもまた、護衛として当然の距離を取っているだけだ。


 それなのに。


「…………」


 胸の奥が、妙にざわつく。


 リアが笑うたびに、ノアの視線がそこに向く。


 その視線が、あまりにも自然で。


 あまりにも“慣れている”ように見えて。


 (……何だ、それは)


 自分でも分からない感情が、喉の奥に引っかかる。


 ただの会話だ。


 ただの距離だ。


 そう理解しようとするのに。


 理解した瞬間に、別の感情がそれを否定する。


(……気に入らない)


 その言葉の意味すら、ルシアス自身は掴みきれていない。


*


 そして現在。


 ルシアスは椅子に深くもたれた。


「…………」


 やはり、分からない。


 ノアは信頼できる人間だ。


 リアに対しても、過剰なことはしていない。


 むしろ、適切な距離を保っているはずだ。


 それなのに。


「……なぜ、あの距離が“当然”のように見える」


 その瞬間、胸の奥がまたわずかにざわついた。


 理由の分からない不快感。


 説明のつかない引っかかり。


 それは理性ではなく、もっと曖昧で、もっと厄介なものだった。


 ルシアスは目を細める。


「……私は、何を気にしている?」


 その問いに、答えは返らない。


 ただ、リアとノアが並んで笑っていた光景だけが、妙に頭から離れなかった。

ここまでお読みいただきありがとうございます!

続きが気になりましたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。