第24話 これは、腕の見せどころです
夕食を終え、それぞれ各部屋へと戻る。
部屋でのんびりと寛いでいたリアは、ふと思いついたように口を開いた。
「ねぇ、ナタリーさん。舞踏会って、どんなドレスを着るんですか?」
窓辺に頬杖をつきながら、リアが楽しそうに尋ねる。
その瞳は、まだ見ぬ舞踏会への期待でキラキラと輝いている。
「ドレス……ですか?」
「はい! 初めての舞踏会なので!どんなドレスにしようかなって」
「まぁ……!」
ナタリーの目が、途端に輝いた。
「それでしたら、ぜひ私にお任せくださいませ!」
「え?」
「ドレスに合わせた髪型も、髪飾りも、メイクも!リア様が一番素敵に見えるように、私、全力で頑張ります!」
「ほんとですか!楽しみ!」
リアが嬉しそうに笑う。
その無邪気な笑顔を見ながら、ナタリーは密かに拳を握った。
――これは、腕の見せどころです……!
せっかくの舞踏会。
リア様には、とびきり綺麗になっていただかなくては。
そして何より――。
ナタリーの脳裏に、ふと二人の姿が浮かんだ。
優しくリアを気遣うノア様。
そして、普段は冷静なのに、リアのことになるとどこか様子がおかしくなる殿下。
「…………」
ナタリーは、そっと遠い目をした。
――また、何か起こるのでしょうか。
最近の二人を見ていれば、もう気づかないふりをするほうが難しい。
殿下もノア様も。
リア様のこととなると、明らかにいつもと違う。
ただ――。
当の本人は、そんな二人の気持ちなど知る由もなく。
「舞踏会、楽しみですねぇ……!」
なんて、嬉しそうに笑っている。
「…………」
ナタリーは小さく息を吐いた。
――どうか、何事もありませんように。
そう願いながらも。
舞踏会で何かが起こりそうな予感だけは、なぜか消えなかった。
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