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帰りたいのに、帰してくれません。  作者: 希。


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第18話 合格をもらいました。

 翌朝。


 カーテンの隙間から差し込む朝日で、リアはゆっくりと目を覚ました。


 今日も、魔力コントロールの練習だ。


 身支度を始めたところで、部屋の扉が軽くノックされる。


 コン、コン。


「リア様、おはようございます。……もう起きてらっしゃったんですね」


 扉を開けたナタリーは、すでに支度を始めていたリアを見て少し驚いたように目を丸くした。


「おはようございます、ナタリーさん!今日も魔力コントロールの練習なんです」


「そうなんですね!頑張ってください」


 ナタリーは、にっこりと微笑んだ。


 身支度を済ませ、朝食を食べ終えると、迎えにきたノアと一緒に魔法研究室へ向かう。


「先生、おはようございます」


「オスカーさん、おはようございます!今日もよろしくお願いします」


 リアは元気よく挨拶をした。


「おはよう。ノアくん、お嬢さん。今日も昨日と同じように魔力を手のひらに集めるところから始めようか」


 こうして、今日も魔力コントロールの練習が始まった。


 最初は失敗を繰り返していたリアも、少しずつ感覚を掴み始めた。

 

「その調子ですよ、リア殿」

 

「ここはこうやって手のひらの一点に集中させて……」


 ノアが時折アドバイスをくれたり、励ましてくれたりする。


「お嬢さん、大丈夫。もう一度やろう」

 

 失敗しても、オスカーが根気強く教えてくれた。


 二人に支えられながら練習を続け、リアはついに、集めた魔力を一定時間保てるようになった。

 

———


 それから毎日練習を重ね、一週間が経った頃には、魔力はすっかり安定し、コントロールも上手くできるようになっていた。


 時折、ルシアスも忙しい合間を縫って、訓練の様子を見に来てくれることがあった。


「順調そうだな」


「はい!オスカーさんたちのおかげです!」


「……そうか」


「無理はするな」


 そう言い残すと、ルシアスは再び執務へ戻っていく。


 その短い言葉が、不思議と嬉しくて。


 リアは少しだけ胸が温かくなるのを感じていた。


「これなら基礎は合格だねぇ。属性魔法の練習は来週からだ。せっかくだし、王都へ行って帰る手がかりを探してみるのもいいんじゃないかな」


 オスカーから合格をもらえたうえに、久しぶりの休み。それに、王都へ行けば帰るための手がかりが見つかるかもしれない。

 リアの気持ちは一気に弾んだ。

 

「ほんとですか?やったぁ!」


「リア殿、おめでとうございます。では明日は俺が王都をご案内します。」


「ありがとうございます!楽しみです」


 それから、ノアとリアは報告も兼ねて、ルシアスのいる執務室へ向かった。


 コン、コン。


「殿下、ノアです」


「リアです」


 二人が声を掛けると、


「入れ」


 短い返事が返ってきた。


 部屋へ入ると、机に向かって書類へ目を通していたルシアスが顔を上げる。


「ルシアスさん、お疲れ様です!やっと魔力が安定して、オスカーさんから合格をもらいました!」


 リアは嬉しそうに報告した。


「そうか」


 ルシアスは小さく頷く。


「よく頑張ったな」


 その一言だけだった。


 それでもリアは嬉しくて、自然と笑みがこぼれる。


「それと、明日は訓練が休みになりましたので、俺がリア殿を王都へ案内する予定です」


 ノアが続けて報告する。


 ルシアスは手にしていた書類から目を離さないまま、淡々と言った。


「……ちょうど王都の視察が入った」


「え?」


 リアとノアが同時に声を漏らす。


「俺も同行する」


「殿下がですか?」


 珍しそうに尋ねるノアに、ルシアスは淡々と答えた。


「ついでだ」


「……そう、ですか」


 ノアは返事をしながらも、


(絶対、ついでじゃないですよね)


 と心の中で苦笑する。


 そんなノアの気持ちなど知る由もなく、リアはぱっと表情を明るくした。


「ルシアスさんも一緒に王都へ行けるんですね!楽しみです!」


「……仕事だ」


 ぶっきらぼうに返すルシアス。


(殿下は本当に素直じゃないなぁ)


 ノアは呆れたように小さく息を吐いた。

 

 こうして、リアはルシアスとノアとともに、初めて王都へ向かうことになった。

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