↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
12/17

第12話 魔法について聞きました。

「では、魔力の基礎から説明しよう」


 オスカーは近くにあった黒板へ向かい、白いチョークを手に取った。


「この世界に生きる人間は、皆、魔力を持っている」


「……全員?」


「そう。魔力の量に差はあるけれどねぇ」


 オスカーは黒板に、人の形をいくつか描いた。


「魔力は、生まれつき体の中に存在している。けれど、その量は人によって大きく異なるんだ」


「じゃあ、魔力が少ない人もいるんですね」


「その通り」


 オスカーは頷いた。


「魔力を持っているからといって、誰もが魔法を使えるわけではない」


「えっ?」


 リアは目を瞬かせた。


「使えない人もいるんですか?」


「もちろん」


 オスカーは黒板に線を引いた。


「魔力が一定以上あれば、魔法を使うことができる。だが、魔力量が少ない者は、魔力を魔法として外へ放出することができないんだ」


「なるほど……」


「だから、この世界では魔力を持っていても、魔法を使えない人間は珍しくない」


 オスカーはチョークを置いた。


「魔法を使える人間は、おおよそ二人に一人といったところかな」


「半分くらい……」


「そう。だから、魔法が使えること自体は、それほど珍しいことではないんだよ」


 リアは頷きながら話を聞いていた。


 この世界の人は、みんな魔力を持っている。


 でも、魔力量によって魔法を使える人と使えない人がいる。


 なんとなく理解できてきた。


「それで、魔法には属性がある」


 オスカーは黒板に六つの文字を書いた。


 炎。


 水。


 氷。


 風。


 光。


 闇。


「基本的には、この六つの属性だねぇ」


「基本的には?」


 リアが聞き返すと、オスカーは意味深に笑った。


「まあ、例外もあるけれど……それは今は置いておこう」


「例外……」


 気になったが、オスカーはそのまま説明を続けた。


「魔法を使える者は、基本的にこの中のひとつの属性を持って生まれる」


「ひとつだけ?」


「ああ」


 オスカーは黒板に大きく「一」と書いた。


「炎属性なら炎魔法、水属性なら水魔法……というように、基本的には自分の属性に対応した魔法を使う」

 

「なるほど……」


 リアは隣にいるルシアスを見た。


「じゃあ、ルシアスさんは氷属性なんですね」


「ああ」


「やっぱり!」


 リアは思わず声を上げた。


「昨日、氷の魔法を使ってお花作ってくれましたもんね」

 

 リアはにっこり笑ってルシアスを見た。

 

「そうだったな」


「すごく綺麗でした」


「……」


 ルシアスは、ほんの一瞬だけ視線を逸らした。


 その横で、ノアが口を開く。


「ちなみに俺は風属性です」


「風……」


「そうそう」


 ノアが指先を軽く動かす。


 すると、指先から小さな風が生まれ、リアの髪をふわりと揺らした。


「わぁ……!」


「どうです? すごいでしょう?」


「はい!」


「じゃあ、もう少し――」


「ノア」


 ルシアスの低い声が飛んできた。


「はい。やりすぎません」


 ノアは素直に手を下ろした。


 リアは小さく笑いながら、黒板へ視線を戻した。


「じゃあ、オスカーさんは何属性なんですか?」


「僕かい?」


「はい」


 オスカーは、にやりと笑った。


「僕は――」


「先生は水属性です」


 ノアが横から答えた。


「おや、先に言われてしまったねぇ」


「聞かれたので」


「僕に答えさせてくれてもよかったんじゃないかい?」


「どうせ余計なことを言うでしょう」


「そんなことはないよ?」


「絶対言います」


 リアは、二人のやり取りを見ながら思わず笑ってしまった。


「ふふっ」


「それで……光と闇は?」


 リアが尋ねると、オスカーの表情が少し変わった。


「光属性と闇属性は、六属性の中でも特殊な属性だねぇ」


「特殊?」


「うん。どちらも持っている人間が少ない」


 オスカーは黒板に書かれた「光」と「闇」を指した。


「特に闇属性は、かなり珍しい」


「そうなんですか?」


「ああ」


 オスカーは頷いた。


「もちろん、光属性の人間も、闇属性の人間も存在する」

 

 そこで、オスカーは一度言葉を切った。


「けれど――」


 リアへ視線を向ける。


「光と闇。その両方を持つ人間は、今まで確認されていない」


「……え?」


 リアは、ゆっくりと瞬きをした。


「確認されて……いない?」


「そう」


 オスカーは、先ほどの水晶を見た。


「だから、さっきの測定結果は……僕にとっても初めて見るものだった」


「……」


 リアは、自分の手を見つめた。


 先ほど水晶の中に浮かんだ、金色と黒色の光を思い出す。

 

「じゃあ……私は」


 オスカーは、ゆっくりと笑った。


「光と闇。二つの属性を持っている」


「……」


 リアは、まだその言葉の意味を理解しきれていなかった。


 ただ。


 どうやら自分は、この世界では少し変わった存在らしい。


「……なんだか、すごいですね」


 リアがぽつりと呟くと。


「うん」


 オスカーは満面の笑みを浮かべた。


「すごいどころじゃないけどねぇ」


「先生」


 ノアが釘を刺す。


「リア殿を怖がらせないでください」


「おや、そんなつもりはないよ?」


 オスカーはそう言いながら、再び魔力量測定器へ視線を向けた。


「さて」


 そして、にっこりと笑う。


「次は魔力量を測ろうか」


 リアは、少しだけ緊張しながら頷いた。


「はい」


 その時のリアは、まだ知らなかった。


 自分の魔力量が、この世界の常識すら超えていることを。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。