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オタク、刀に狂う  作者: Asansol ackey
間章(3ー4)
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間章-21:若者の成長

ソウル、大統領府。


大統領・尹秀賢は、パク・ソジュンの帰国会見の映像を、既に何度も繰り返し見ていた。


『いやー、本当にすごい経験でした! 神崎さんの動き、間近で見られて、僕の探索者人生の宝物です!』


快活な笑顔。


その裏に、負傷しながらも最後まで戦い抜いた根性が滲んでいた。


「あの若者、うちでも一気に人気者になったな」


「はい」


科学技術担当の秘書官が答える。


「特に、若い世代の探索者志望者から、絶大な支持を得ています。先週発表された調査では、二十代の新規探索者志望者のうち、約三割が『パク・ソジュン選手の活躍を見て決意した』と回答しています」


「三割、か」


尹は、思わず口笛を吹きそうになった。


「あの若者、随分と国の後押しをしてくれたわけだ」


「本人にも、正式な表彰を検討しています」


「良い。盛大にやってやってくれ」


尹は、資料をめくった。


映像の中、負傷した肩に包帯を巻いたソジュンが、それでも笑顔を絶やさずに、記者たちの質問に答えている。


「継刃の件について、うちの分析班の見解は」


「素材そのものに宿った性質が、使い手との相性次第で発現する、という仮説を立てています。ただ、日本側の研究班との情報交換も踏まえ、まだ検証段階です」


「悪くない仮説だな」


「加えて、これは推測の域を出ませんが」


秘書官が、少し声を落とす。


「発現の条件には、使い手自身の集中力や、精神的な状態も関わっているのではないか、という意見も出ています」


「面白いな。つまり、技術だけでなく、心構えの問題でもある、ということか」


「はい」


「うちの装備開発にも、活かせそうか」


「時間はかかりますが、可能性はあります。特に、我が国が強みとするゲーム業界のシミュレーション技術を活用すれば、発現条件の解析を、効率的に進められるかもしれません」


「急ぐ必要はない。着実に進めろ」


尹は、少し考えてから続けた。


「それと、魔素の研究について、日本との合同シンポジウムを開催できないか、検討してくれ」


「合同シンポジウム、ですか」


「隣国同士、これだけ協力関係が深まっているんだ。もっと大々的に、知見を共有し合う場があっていい。研究者だけでなく、探索者同士の交流会も、併せて企画したい」


「素晴らしい発想だと思います。九条総理にも、打診してみましょう」


「頼む」


尹は、映像の中のソジュンを、もう一度見つめた。


「この若者たちが、この国の未来を作っていく」


「はい」


「隣に負けじと、じゃない」


尹は、小さく笑った。


「隣と共に、前へ進む。そういう時代に、なってきているのかもしれんな」


「大統領」


秘書官が、少し躊躇いがちに言う。


「もう一つ、ご報告が。ソジュン選手本人から、私的なメッセージが届いています」


「読んでくれ」


「『大統領、僕、日本語をもっと勉強しようと思います。もっと深く、神崎さんや、他の国の探索者たちと話せるようになりたいので』とのことです」


尹は、思わず笑みを浮かべた。


「良い心がけだ。語学予算でも、何でも、支援してやってくれ」


「かしこまりました」


窓の外、漢江の夜景を見ながら、尹は、静かにそう呟いた。


「この国境を越えた繋がりが、これからの時代を、きっと作っていくんだろうな」


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