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オタク、刀に狂う  作者: Asansol ackey
間章(2ー3)
62/94

間章-12:隣国の意地

ソウル、大統領府。


大統領・尹秀賢は、来週に迫った正式発表の資料を、満足げに眺めていた。


「制度案、最終確認は終わったか」


「はい」


科学技術担当の秘書官が答える。


「ウェブトゥーン作家、MMORPGの運営経験者、eスポーツの大会設計者。全員の知見を反映した、独自の制度に仕上がっています」


「日本より、目立って早いか」


「一週間ほど、先行できる見込みです」


尹は、小さく笑った。


「よし」


「隣国の意地、ということでしょうか」


「半分はな」


尹は、資料をめくりながら続けた。


「だが、それだけではない。あの、鬼と魔素の一件を見て、正直、焦りもある」


「焦り、ですか」


「もし本当に、あの未知のエネルギーが、人体に作用するのだとしたら」


尹の声が、真剣なものに変わる。


「対応が一日遅れれば、それだけ、国民が危険に晒される時間が延びる」


「うちの分析班も、独自にサンプルを収集し、同様の結論に至っています」


「詳しく」


「特定の条件下で長時間曝露した個体に、知覚や身体能力の変化が見られる可能性が高い、と」


尹は、目を閉じた。


もし、この国にも、同じ現象が起きるなら。


その受け皿を、今のうちに整えておかねばならない。


「経過観察の体制は」


「既に、医療機関と連携した枠組みを準備しています」


「よし。発表と同時に、その体制も公表しろ。国民に、無用な不安を与えないためにもな」


「かしこまりました」


「それと」


尹は、少しだけ表情を緩めた。


「日本の総理とは、一度、直接会って話してみたい。あの人の判断力は、本物だ」


「機会を設けるよう、外務省に伝えます」


「頼む」


窓の外、漢江の景色を見ながら、尹は静かに呟いた。


「隣に、いい先生がいる。それを追い越すくらいの気概で、この国も進もう」


対抗心と、確かな敬意。


その両方を胸に、韓国もまた、新しい一歩を踏み出そうとしていた。


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