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オタク、刀に狂う  作者: Asansol ackey
間章(2ー3)
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間章-10:追いつく国

ホワイトハウス、状況分析室。


大統領・マーカス・ウェインは、日本からの報告書を、もう三度は読み返していた。


鬼。


魔素。


単身で仲間を守り抜いた、若い探索者の姿。


「大統領、制度の最終案がまとまりました」


国防長官が、分厚い資料を手に入ってくる。


「見せてくれ」


資料に目を通す。


資格制度、素材管理、配信規則。


日本の枠組みを土台に、この国向けに再設計されたものだった。


「来月には、試験的な一般開放に踏み切れます」


「よし」


ウェインは、迷わず頷いた。


「予定通りだ。むしろ、少し早められないか」


「これ以上の前倒しは、安全管理上、推奨できません」


「......分かった。無理は言わん」


資料をめくりながら、あの映像を思い出す。


銃弾を弾く硬い皮膚。


一人で盾となった、あの青年。


「あの鬼と同じような個体が、我が国でも確認される可能性は」


「否定できません。既に、複数の観測地点で、出現率のわずかな上昇傾向が報告されています」


ウェインの表情が、引き締まる。


「開放と同時に、緊急対応部隊の編成も急げ。民間人任せにするだけでなく、いつでも支援に入れる体制を整えておく」


「かしこまりました」


「それと、あの魔素とやらの件だ」


「はい」


「うちの研究機関でも、独自に分析を進めさせろ。もし、あれが本当に人体に作用するなら――」


ウェインは、少しだけ言葉を切った。


「この国にも、いずれ同じことが起きる」


「大統領は、それを恐れておられますか」


「いや」


ウェインは、小さく笑った。


「楽しみにしている、と言った方が正しいかもしれんな」


半年前、悔しさから「追いつくぞ」と呟いた自分を思い出す。


あの頃より、今の方が、確かに前を向けている気がした。


「日本の総理とは、一度、直接話してみたいものだ」


「機会を設けましょうか」


「頼む」


窓の外、ワシントンの空は、いつもと変わらず高く晴れていた。


だが、その空の向こうに広がる世界は、半年前とは、もう別の場所になりつつあった。


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