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オタク、刀に狂う  作者: Asansol ackey
第一章:ダンジョンについての有識者会議
11/88

1−11:違和感

 「……これ、公開するんだ。」

 大学から帰宅して、夕飯を食べ終えた頃。

 テレビでは、今日一日ずっとダンジョンの話題だった。

 どの局も同じ。

 ニュース。

 特番。

 専門家。

 ニュース。

 専門家。

 またニュース。

 さすがに飽きる。

 ……飽きるけど。

「素材は気になる。」

 そこだけは別。

 リモコンを置いてテレビを見る。

 画面には、今日回収されたという青い鉱石が映っていた。

『こちらが、政府が回収した未知の物質です。』

 アップで映される。

 青い。

 綺麗だ。

 宝石みたいだ。

「へぇ……」

 思わず前のめりになる。

 アナウンサーが続ける。

『現在、この物質は既知の金属とは一致せず──』

「金属じゃないな。」

 思わず呟いた。

 その瞬間だった。

『……え?』

 テレビの専門家が固まった。

 いや、違う。

 俺が勝手にテレビへツッコんだだけだった。

「いや、これ金属じゃなくない?」

 もう一回見る。

 録画を戻す。

 一時停止。

「ほら。」

 画面を指差す。

「これ、劈開してる。」

 綺麗に割れた断面。

 層状の模様。

 金属なら、こんな割れ方はしない。

 少なくとも。

「鋳造でも鍛造でもないよなぁ。」

 天然鉱物。

 そう考えた方がしっくり来る。

 テレビでは、

『未知の金属ではないか』

 という議論が続いている。

「いやぁ……。」

 違うと思う。

 なんとなくだけど。

 違う。

 そんな気がする。

「……ネット見るか。」

 スマホを開く。

 案の定。

 SNSは大騒ぎだった。

『ミスリルきた!』

『オリハルコン!』

『金属確定!』

「確定ではないな。」

 まだ。

 何も確定していない。

 でも。

 もし鉱石なら。

「精錬しないと。」

 そこまで考えて。

 止まる。

「……あ。」

 精錬。

 つまり。

「インゴットにできるのか?」

 急にワクワクしてきた。

 未知の鉱石。

 未知の精錬方法。

 未知の金属。

 未知の熱処理。

 未知の焼き入れ。

「……。」

 ダメだ。

 楽しすぎる。

 まだ手元に一欠片もないのに。

 頭の中では、もう刀を打ち始めている。

「まず成分分析。」

「融点。」

「比重。」

「炭素入る?」

「いや、そもそも鉄なのか?」

 独り言が止まらない。

 ノートを取り出す。

 気付けば、大学のレポートを書くより真剣な顔でメモを始めていた。

 ──未知の鉱石から刀を作るには。

 そんなタイトルを書いてから。

「……いや。」

 苦笑する。

「まだダンジョン素材って決まってないから。」

 早とちりにも程がある。

 そう思いながらも、ペンは止まらない。

 翌日。

 そのノートは、二十ページを超えていた。


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