23話 ラッシーって偉大だよね。
いやぁー楽しく書けました!
村人達が楽しんでいる宴の中、ユーイチはグレッグ達の座っている席に来た。
「ユーイチさん。今日は凄い宴ですね。」
笑いながらメリッサは声をかけて来たので、ユーイチも笑いながら答える。
「俺は聞いてなかったんだけど、マモリちゃん達が俺を喜ばせたくて色々と頑張ってくれたみたいなんだ。」
「ユーイチにいちゃん!この肉、すごいおいしいんだよ!」
レオン君は見慣れない肉を説明すると、それを口一杯に頬張って笑顔で食べている。
「魔獣の肉ですので、高級食材ですね。売れれば相当な値段になるんですが、大量に有りすぎますし、美味しく食べるしかないのが商人としては残念ですね。」
バルは残念だと言いながらも、美味しそうに食べている。そんな姿を見ながらゴロスは、レオン君の口を拭きながら答える。
「戦争終結や、メリスリリアさんの滞在は盛大に祝うべきだ。」
「確かに、メリスリリアさんの滞在は聞いた事がない事実ですし、むしろ足りないかもしれませんね。」
真面目に話し合っているバルとゴロスに対して、ラルファ君の食事の世話をしつつ、グレッグは呆れた顔で話しに混ざる。
「2人とも堅苦しく考え過ぎだぞ?アニキの嫁さんを紹介したい!って事で、マモリちゃん達が頑張って、俺達も手伝ったりした祝いの席だろ?」
それに対してメルは更に呆れた顔でグレッグに答える。
「一回、グレッグは教会でべんきょうした方がいいぞ?シスター達が聞いたら、たおれちゃうレベルだぞ?」
メルに呆れられたグレッグだが、グレッグは胸を張って答える。
「メルこそ、ちゃんと覚えておかなきゃいけないぞ?アニキとメリスリリアさんが夫婦になって、ミリィちゃん、レオン君、メルちゃん、ラルファ君、レミリアちゃんが2人の家族なんだから、家族でそんな事は気にしちゃダメだぞ?」
グレッグが心情的には賛成な事を言ってくれていたので、ユーイチは安心した。
「確かに、みんな俺の家族なんだから、リリアはみんなにとって、義理の妹や弟になるよな。良かったなメル。教会に行ったら、多分教皇より偉い立場になるぞ?」
ユーイチは笑いながら答えると、メルは焦った表情で慌てて答える。
「大変になるから、ぜったい教会にはもどらないぞ!」
それを聞いた大人達はそれを見て大笑いする。そしてその笑いを聞いた双子ちゃんは一緒に笑い出す。そして笑われたメルは、ふてくされた表情で肉を頬張っている。
「まぁ1人で教会に行く事は無いだろうし、みんなが行きたくなったら一緒に行くから、それまでは普通の家族として美味しい物を食べたりしよう。」
そんな事を話していると、ナノ君が食事を持ってユーイチ達の席に来る。
「ただいま。まだ話してるから。こっちでご飯を食べるね。」
そんなナノ君のテーブルの前には、赤黒い麺や料理など色合いが2色しかない品物が並んでいる。ユーイチは見慣れない食べ物があるので、冷や汗をかきながら聞いてみる。
「ナノ君。それ、俺が見かけた事ない食べ物だけど、何処から持って来たの?」
するとナノ君は笑顔で答える。
「僕は料理が。出来ないから。ルークさんに予め。調味料を渡して。作って貰った。」
「え?ルークさんに頼んだの?」
「うん。取り寄せられる調味料。こっちでは無い辛さだって。ルークさん言ってた。喜んでたよ。」
「ちなみに何を渡したの?」
「ルークさんも。色々欲しいって言ってた。だから色々。」
ユーイチの目の前にリストが浮かぶが、ジョロキアやらカプサイシンやらデスキルソースやら怪しい名前しか無い。カプサイシンって、調味料じゃなくて辛さの表示じゃないのか?あれはスコビルだっけ?そんな事を考えつつ、ナノ君を見るとニコニコしながら赤黒い物体を食べている。
「ユーイチも。食べてみる?」
ヤバい!こっちに飛び火した!!最近はナノ君の肉体が出来ていたので、油断していた。
断りたいが、断ると悲しむんだよなぁ。そんな事を考えると、ユーイチは覚悟を決める。
「それじゃ、少し貰おうかな。ナノ君。牛乳とラッシーもくれる?」
するとユーイチのテーブルに1リットルの牛乳と、ピッチャーに入ったラッシーがナノ君によって用意される。まずは胃の保護で牛乳をコップ一杯飲む。
「それじゃ1口貰おうかな。」
するとナノ君は、フォークを使って麺を取るとユーイチに一口差し出す。かなり多めに取られた一口だ。
ユーイチは冷や汗を流しながらナノ君の方に身体を乗り出して口に入れる。
痛い!!痛い!!痛い!!痛い!!
美味いとか感じられない!口の中に痛みしか感じる事が出来ない!あ、辛い!辛い!辛い!!辛い!!
ユーイチは急いでラッシーを口に入れ、胃に流し込むが喉や胃が痛い!そんな姿を見たメリッサ達は、驚いた表情で慌てて声をかけてくる。
「ユーイチさん!大丈夫ですか!?顔が青白いですよ!?」
ユーイチはラッシーを飲み続け、痛みが落ち着くまで喋れない。
「ユーイチ。ルークさんも少し。辛すぎたって言ってた。まだ香辛料を渡したばかり。だからコレは未完成。でも辛くて美味しい。」
(ナノ君。コレは辛すぎて俺は食べれないのと、子供達の目に入ると失明しちゃう事もありそうだから、食べたり準備する時は必ず気をつけるようにルークさんに伝えてね。食べる時も注意が必要だから。)
ユーイチは喋れないので、思考で話しかけて伝える。するとナノ君は笑顔で答える。
「うん。わかった。完成して辛い中に美味しいのがわかるようになったら。ユーイチにも披露するって。ルークさんが言ってた。」
未来のユーイチに不幸が訪れる事が決まったようだ。そんな姿を見て、グレッグ達も気になるようだ。
「ア、アニキ?大丈夫ですか?そんなに凄いんですか?」
何気ない一言が、グレッグの未来を決めてしまった。
「グレッグ達も。食べてみる?」
そしてナノ君の犯行を、グレッグ達や隣の席に座って酔っていた村人達も挑戦する事に。
5分後。グレッグ達や、珍しい酒で酔っ払ってノリで試した男達は、皆が見事に一口で倒れるのであった。ウンウン唸りながらお腹を抑えてる一同。ラッシーをガバガバ飲んでいるのは危機感からだろう。
ユーイチはみんなの胃に穴が開くと困るので、ナノマシン化をするようにナノ君に伝えたユーイチは、間違っていなかったであろう。
「そっか。みんな苦手なんだ。」
残念そうに答えつつ、皆が挫けた麺を食べるナノ君。済まないと思うが、流石に無理だ。今度はある程度食べれる辛さを自分で作って一緒に食べる事にしようと思うユーイチであった。
そして、この時の被害者が勧められるまま飲んだ『ラッシー』と呼ばれる飲み物を皆が飲んでいた為、『辛い物にはラッシー』と記憶に残り、ルークの宿屋での販売が決まり、村の特産となるのは、少し先の未来であった。
そんな村の特産品を作ったと考えてもいないユーイチは、味覚が復活すると口直しに色々と摘みながら話しを再開する。
「そういえば城壁やら家が立ってたんだけど、みんなは何か聞いてる?」
「マモリちゃんから聞いてますよ。ユーイチさんとメリスリリアさんが過ごしやすいように家を建てたって聞いてます。
元々は家を建てる予定だったのを、急遽取り仕切ったのがマモリちゃんらしいです。」
被害にあってないメリッサから色々と教えて貰った。
「鎧が動き出したり、木が勝手に倒れたりしてましたが、マモリちゃんから『神様関連ですから。』としか聞いてませんが、凄かったです。アレが神の技なんですね。」
うん。マモリちゃん張り切り過ぎたな。まぁここまで目立ってるんだから、少し増えても問題ないだろう。と現実逃避していると、更にメリッサが教えてくれた。
「3日間は夫婦水入らずで過ごせるように建てられたと聞いてます。祝いの席なので、3日間の食事は全て神の技で湧き出るとマモリちゃんは村のみんなに言っていました。」
「動物達が。居なくなってるから。食糧支援も必要。その初めのステップ。ってマモリちゃんが言ってた。」
確かに、神様関連での支援と言えばユーイチにとっても気楽である。マモリちゃんやナノ君の対応も『神様の行動』と言えなくもない。うん。そうしよう。
そんな事を考えていると、マモリちゃんが訪れる。
「ユーイチさん。話し合いが終わりました。リリアさんが待っています。」
「もう良いの?楽しそうに話してたけど。」
すると和やかな笑顔でマモリちゃんは答える。
「はい。ユーイチさんから日本の風習の一部ですが知識として持っていますので、その事を伝えておきました。テント暮らしで神様を迎えるのは不味いかと思い、家も準備しましたので。見取り図がこのようになってます。」
マモリちゃんから家の見取り図が送られてくるが、中々広い家で、クッションの中身を使ったマットレスなど、今のテント暮らしより断然便利な住まいとなっていた。
「これは凄いね。住みやすそうだし、日本のマンションのようだね。」
「色々と準備をしたので、この後はリリアさんについて行ってくださいね。」
まだ何かイベントがあるようだ。よく分からんが。そんな事を考えていると、グレッグ達からは『頑張ってくださいアニキ!男を見せる所です!!』など言われる。まぁいいか。
「それじゃリリアの所に一度戻るから、また後でな。」
ニヤニヤするグレッグ達。そしてミリィちゃんは「また明日。おやすみなさい。」と言われた。
そしてリリアの元へ戻ると、顔を赤くしながら席を立ち上がると、村人達に伝える。
「ユーイチの妻として、祝いの席を設けて貰った事を感謝する。3日間の間、この食事は無くなる事なく、無限に湧き続けるので、家事や生活の苦労からひと時の間の休息を楽しんで欲しい。では、私達は休ませて貰う事にする。詳しくはマモリちゃんから聞いて欲しい。」
そう言うと、リリアはユーイチの腕を取ると、何も言わずに家へと歩き出す。ユーイチは引っ張られるまま家へと歩いていく事にする。
リリアは無言なので、ユーイチは歩きながら尋ねる。
「どうしたんだ?急に帰るって。何かあったのか?」
広場の明かりから遠ざかりながら、周りは星空や月の光だけになり、家も見分けるのが難しい程であるが、2人の目には問題なく見えるので、帰る事が出来る。
そんな中、横で一緒に帰っているリリアから、小さい声で何かブツブツ聞こえた。普段ならマモリちゃんの機能で聞こえるはずなのに、何故か聞こえない。
(マモリちゃん。何かあった?)
(これより、緊急性のない連絡は控えさせて頂きます。ユーイチさんの機能も一部を除き制限をかけさせて頂きます。子供達の世話は任せてください。ユーイチさん。おやすみなさい。)
一方的に連絡が途絶えたが、改めてこちらから連絡しても返事が来ない。なんだ?これ?
そんな事を考えていると、リリアの声が少し大きくなった。
「マモリちゃんから聞いたのだが、日本の風習でも、結婚式があると聞いた。その日の夜を初夜と言うらしいのだが。」
話しているリリアの耳やうなじまで真っ赤になっているのがわかる。そしてその事を聞いてユーイチも顔が赤くなってきたのを自分でも理解した。やたらと喉が渇く。
そんな状態だとリリアは気付かず、尚も歩きながら話し続ける。
「それでだな?夫婦になって、ゆっくり2人で過ごせる機会が今までなかったのでな。そこでマモリちゃんから『2人でゆっくり過ごすのはどうか?』と提案を受けたのだよ。」
ユーイチは家へと歩きながらその言葉を聞いて、ドキドキしている。この状態なので、食事の時にしか帰って来れないリリアの為に、考えないようにしていた事が頭に過ぎっている。
「それでだな?私は、マモリちゃんの提案を、その、受けてみたんだ。」
「そうだよな。リリア。一緒に過ごそうか。」
ユーイチは笑いながらそう言うと、リリアと繋いでいた手を離し、お姫様抱っこをして歩き始める。顔を赤くして照れながら帰る2人。
新たな家が見えてくると、やはり作りは日本家屋であり、入り口から玄関まで花びらの道が続いてランプでライトアップされていた。門に近づくと、ナノ君が開けてくれているので、自動ドアになっている。
2人して顔を赤くしながらも微笑んでいる2人。そんな2人は静かに新たな家に入っていくのであった。
マモリちゃん、ナノ君の進歩を書きたかったのが、やっと書けて満足です。え?イチャイチャを書かないのかって?砂糖が出そうなので書きません(笑)
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