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見張り

「ふいー、風が気持ちー!」

「そ、そうですね。」

俺とカルメニィは海風に辺りながら見張り台で辺りを見回す。

他の二人も別の場所で見張りをしており、サボっている気配はしない。

「そう言えば、何でカルメニィは冒険者になったんだ?」

「ひゃい!?」

「おっとと。」

俺が見張りをしながら隣で見張っているカルメニィに顔を向けずに話しかけると、びっくりしたように声を張り上げ、危うく落ちそうになるため、ローブを引っ張る。

こいつの話し方はどこか上品な雰囲気を醸し出している。王国での話だが、貴族や豪商の連中は冒険者を『野蛮人』と蔑んでいるからな。

まぁ、否定は出来ないけど。

俺がワイバーンを倒した時の話をしていた時だけで三回、朝食を食べている時に五回、三人と雑談していたときで八回も喧嘩が起きていた。格式と権力を好む貴族や見栄を好む豪商には野蛮人として見られるだろう。

そんな奴らが幾ら店が潰されてもプライドが邪魔して好き好んで冒険者に成るわけがない。

「わ、わたくしは……その……元は王国の貴族だったんです。」

「王国の?あいつらは格式と権力が大好きで、冒険者を野蛮人と蔑んでいる奴らだぜ?そんなプライドの塊が好き好んで冒険者になるとは考えづらいが。」

「よ、よく貴族の性格を分かってますね。け、けど、わたくしは貴族でも特殊な立ち位置なので……。」

「特殊?」

特殊な立ち位置……。私生児や愛人の子とか、そんな感じか?

「実は……『解除』。」

「なっ!?」

カルメニィが魔法を解除した瞬間、彼女の両方の耳の近くに東洋の龍が持つ枝みたいな角が生える。

この特徴を保有している種族はあいつらしかいない。だが、あいつらは基本的に表には出ない種族の筈だ。

だが、成る程。確かにこれを格式と権力が大好きな貴族の奴らが考えない、と言うか蔑んでいる冒険者になるしかないな。

「私は……龍人族と人間の(・・・・・・・)ハーフなんです(・・・・・・・)。」

「成る程な。」

龍人族。他の種族との外交を絶ち、アンタレス大陸の北側にある山脈で王国を築いたプライドが高く、義理堅い種族。魔族にはこのように外交を断って奥地に引きこもった種族は少なくない。

「あ、貴方は悪い人ではなく、信頼に値する人間なので明かしました。だ、誰にも言わないで下さい。」

「……他の奴らには言わないでおく。だからさっさと隠せ。」

「は、はい。『封印』。」

カルメニィはおどおどとした雰囲気のまま詠唱し、角を隠す。

だが、龍人族はその種族的、肉体的な特性上普通なら一生出会う筈がない種族だ。なのに、何故貴族が龍人族を……?

「わ、わたくしの母様は龍人族の……所謂人拐いにあって貴族に売られ、その……言いたくも無くなる程の行いの果てにわたくしを産みました。」

「人拐い、ねぇ……。」

あいつらは村で過ごしていた時に俺とコンタクトを取ってきたからカーバンクルたちを一緒に捕まえようと交渉しに近づいてきたところを木の棒で気絶させて穴を掘って花の蜜を塗りたくってからその穴に頭だけだして埋めた。

因みに、次の日確認しにいったら熊の魔物が美味しく頂いていた。

「その口調は母親譲りなのか?」

「は、はい。」

となると、その女性もかなり高位の立ち位置の人間なんだろうな。

「そ、そのあと、母様はわたくしに最低限の魔法の知識と言葉を教え、わたくしを逃がして……追っ手に目の前で殺されました。」

わーお、バイオレンス。てか、逃がしてくれた母親は死んでしまったのか。不義の子とは言え、子供の命に罪はない、か。龍人らしい気高さだな。

「その話を俺に話して、何の特がある。」

「い、いえ。あなた様から強くて真っ直ぐな波動(・・)を感じたので、つい……。」

しまった。龍人の特徴を忘れてた!

龍人はその角で周囲の人間の波動……感情や企みを暴くと言われている。その特性上こいつには嘘は一切聞かないんだった!

「そう言えば、ホワイト様は何故冒険者に……?」

「お前と比べたら下らない理由だよ。言う価値もない。」

俺の正体がバレないようにするための隠れ蓑。あんたと殆ど変わらないんだがな。

「おーい、そろそろ交代の時間だぞー。」

「っと、わかった!降りるぞ、カルメニィ。」

「わ、分かりました。」

下から野太い男の声が聞こえたため、二人で降りていく。

さて、暇潰しに剣を素振りしてようかな。

『主殿。』

「どうかしたのか、シルン。」

見張りを交代し、素振りをしようと人気のない物陰に行くと、リュックからシルンが顔を出す。

リュックの中にいた方が他の奴らと顔を会わせなくてもいいからな。最も、昨日いた冒険者には知られているとは思うけど。

『あの者……確かカルメニィ殿でしたか。』

「そうだが?」

気配的にも、魔力的にも良い奴だと思ったが……シルンはどうやら、別の物を感じ取っていたらしい。

『彼女、始租の血を引いています。』

「そりゃ、龍人と人間のハーフだからな。」

『龍人と竜種は違います。』

シルン曰く、『竜種はあくまで魔物。龍人は人間(ヒューマン)の一種』らしい。

竜種からしたら俺みたいな猿から人になった奴を人間とするんじゃなく、人間の中にヒューマンと言う種族がいる、みたいな感じらしい。ま、それは俺も同意だけどな。

『彼女はオベリスク王家の末裔なのでしょう。』

「何だよ、そのオベリスク王家ってのは。」

『古代の龍人の王族です。今の王家とは違い、始租の血を引いています。』

オベリスク王家は始租の血を引いた、つまりは竜種と変わらない種族なんだろうな。

『オベリスク王家は災害で滅びそうとなった龍人の村でとある女性が災害を静めるための生贄としてだされ守り神に捧げられ、それを見かねた始租の竜が己の眷属を産む代価に災害から救ったと言う伝説が残っている王家なのです。滅びましたが。』

人と蛇が交わる……日本でも昔から伝えられてきたような物語だな。

だが、その話は事実だった。となると、始租の竜の魔力の特性を保有していると考えて良さそうだな。

『オベリスク王家の始租の竜は『天炎竜(アポロン)』。その特性は『魔力の完全焼却』。どんな魔力でも燃やしてしまう特性を保有しています。』

魔力を完全に燃やしきる、ねぇ……。俺のシェンショウジンのように魔力由来のものならどんなものでも貫くのではなく、魔力のみを燃やす……か。あくまでエネルギーをゼロにするだけで俺みたいに完全にロストさせる訳ではない。が、かなり優秀な特性だな。

「それで、何が言いたい。」

『彼女の攻撃に当たらないで下さい。魔力を燃やされ、使いづらくなりますので。』

「分かった。注意しよう。」

さて、シルンとの会話も終わったし、素振りでもしようかな。

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