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乗船

「それでは、戦略会議を行う!」

(あー五月蝿い。)

翌日の早朝。ギルドのホールに集められたランク試験の参加者たちが集まり、前の台に鯖徒たち勇者が集まっている。

あいつらに俺の姿形を知られている以上、無闇に関わるのは止めておいた方が得策だな。

「まず、今回の概要を伝える。今回討伐する魔物はSランクの魔物である『リヴァイアサン』だ。この魔物の特徴は『水の結界』と『大轟音』、そして『眷属』だ。」

勇者たちのリーダー格である青野瞬が声を張り上げてリヴァイアサンの特徴を説明する。

『水の結界』は、その名前の通り何重にも重なった水の壁で物理的な攻撃は勿論、軽い魔法は何も通じない。

『大轟音』はリヴァイアサンの咆哮で辺り一帯に音の衝撃波を放つ物だ。まぁ、それを行う際に水の結界は一時的に破壊されるからそこを通すのが定石(セオリー)通りである。

『眷属』はリヴァイアサンの周りを泳ぎ回るコバンザメ見たいな竜種だ。ランクとしてはGからCランク程度、倒せない相手ではない。

「―――作戦としては、まず、雷の魔法で水を分解して、水素を作る。そして、そこに火の魔法を撃ち、爆発させる。水の結界が解除された後、一気にリヴァイアサンに攻撃を仕掛けるものだ。」

(あ、無理だ。勝てない。)

『無理ですね。普通に某たちは負けました。』

瞬から伝達された作戦を聞いた瞬間、どう考えても負けたと考えてしまう。

実は、俺とシルンは他の冒険者や勇者が知らない情報を保有している。

リヴァイアサンは『天水竜(グノーシス)』と呼ばれる一頭の竜種の始租(トゥルーゼロ)から始める種族である。

竜種とは、始租の竜によって魔力に特性を保有する種族である。シルンの場合、始租の竜の名前は『天氷竜(コキュートス)』と言い、特性は『魔力の完全凍結』。これにより、魔力をストックしたり、魔法や魔術を停止させたり出来るらしい。

そしてリヴァイアサンの魔力の特性は『魔力の遮断』。魔力そのものが通じないため、魔法や魔術は一切通用しない。そのくせ向こうは魔力が使える反則中の反則である。

俺のシェンショウジンは魔力その物を消滅させるため、攻撃は普通に通じるが……あいつらは魔力の特性を知らない。今回の作戦は無意味に終わるだろう。

伝えても構わないが、信じないだろうし、顔を合わせる必要がある。デメリットの方が大きいのだ。

(それに、向こうが混乱してくれれば、暗殺しやすくなるから、言わないが。)

『主殿、顔が悪い表情をしてますよ。』

「おっと。」

「それでは、第一班から第三班は魔法部隊、第四班から第六班を物理部隊としてそれぞれ乗船を開始する。」

さーて、無意味に終わる作戦会議も終わった事だし、さっさと動こうかね。

「よう、ホワイト。お前も物理部隊か?」

「俺の武器を見て魔法部隊と思うのならGランクからやり直せ、アノール。」

「ははっ!手厳しい。」

全くこいつは……。お気楽そうに見えるが、かなり集中している気配がする。それだけ今回の討伐戦を警戒しているな。

「それで、ホワイトは勇者たちの作戦を聞いてどう思う?」

「無理だな。あいつらは異世界の知識を使って勝とうとしているが、その知識がこの世界でも有効とは限らない。」

「そうだよなー。俺たちには俺たちの戦闘法があるのに、それを理解していないとか、馬鹿だと思う。」

「ま、俺はさっさと船に乗らせてもらう。」

「あいよ。俺とホワイトは別の船だから助けれないぞ。」

「分かっている。」

ギルドの近くに敷設されているギルド専用の船着き場には何隻もの帆船が停まっており、その一つに乗る。

リヴァイアサンが確認されたのはアンタレス大陸に程近い群島らしい。そして、リヴァイアサンはこちらに向かって進行している。

そこまで十数時間かかるらしく、船に乗った後は数人の個室に入り、交代で見張りをするらしい。

「ふーん……まぁ、普通の個室か。」

船内の個室に入り、荷物を置いてベッドに寝転がる。

ギルドにも個室はあるけど、有料だから使えないんだよな。久々のベッドだぜ。

「ちわーす。」

「し、失礼します……。」

「おっじゃまー!」

……軽く見張りまでの間仮眠を取ろうとしていたのに、五月蝿い奴らが入ってきた。

全く……朝早いから寝ようとしたのに……。

「じゃあ、私はこのベッドね!」

快活そうに笑う革鎧を着た赤髪のグラマーな女性は俺の上のベッドに飛び乗る。

「で、ではわたくしはここで……。」

おどおどした雰囲気の灰色のローブを着た茶髪の幼児体型の少女は隣のベッドに入り、本を読み始める。

「じゃ、ボクは残ったところだね。」

やれやれと言った雰囲気のマントを羽織った蒼髪の女性は幼児体型の少女の上に陣取る。

「そう言えばさ、下のあんたは誰?」

「ホワイト・コールド、Gランクだ。メインの武器は連結剣。よろしくな。」

「変わった武器を使うんだね。私はルミエ・テクストロン。Cランクさ。武器は剣と盾。少ない時間だけどよろしくね。」

「わ、わたくしはカルメニィ・ノルトリーです。で、Dランクです。ぶ、武器は魔法です。よ、よろしくお願いします!」

「ボクはオルトリア・シグマータ。Bランクで武器は剣とかナイフとか弓矢とか、結構なんでも出きるよ。」

それぞれの自己紹介を終え、俺は考えを纏める。

ルミエは剣と盾だから恐らく前衛。カルメニィは魔法職の後衛。オルトリアは遊撃手の中衛。バランスがとても良いな。

「そう言えば、三人ともパーティを組んでいるのか?」

「いんや?たまたま一緒になっただけさ。」

「そ、そうですね。わ、わたくしたちは特に交流はありませんでしたね。」

「うーん……ボクは基本一人ばっかりだったからねー、パーティを組んだのも初めてだよ。」

三人とも面識は無し。最も、嘘をついている可能性もあるから少しは警戒しておいた方が良いかもな。

「ねえねえ!ホワイト君は本当に一人でワイバーンを倒したの?」

「そ、それ、わたくしも気になります!」

「どうやって倒したか聞きたいね。」

おや?何で俺がワイバーンを倒した事を知っているんだ?まぁ、結構な人間に聞かれていた訳だから聞かれて当然、なのかもな。

「ま、簡単に説明するか。まずは――――。」

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