惨殺
「ぬおおっ。」
剥ぎ取った熊の毛皮を脱ぎ捨てながら背を伸ばす。
……取り敢えず、今は動こう。この近くには基地がある、昨夜は問題なかったが、俺は兵士を殺した。もう気がつかれている筈だし、山の中で潜伏するのは愚策と考えて良いだろう。
(……潜伏先に選ぶとしたら、山を下って町に行くのが良さそうだな。)
となれば話しは早い。
さっさと山から降りよう。
「……ついたな。」
俺が乗れるサイズの大きさのシェンショウジンに乗りながら空から眼下に広がる街を見る。
前までは雑多な街だと思っていたが……ちょうど良い。
今、俺は他の勇者や兵士などの俺を知っている奴らの誰にも気がつかれてはならない。俺が生きていることすら悟られてはならない。なら、この雑多な街なら潜伏にはもってこいだ。
「よっと。」
街の近くの山の麓で降り、街に入ってすぐの脇道に入る。
……よし、誰にも見られていないな。
「おいおい兄ちゃん……ここは通行止めだぜ?」
「通りたければ10万リラを出せ。」
周りを警戒しながら歩いていると世紀末覇者のようなモヒカンヘッドの男二人がナイフで脅してきた。
ちなみにリラと言うのは日本円に換算すると10万円になる。この世界は日本よりも物価が安いから10万円で一年は暮らせる。
まぁ、渡さない、というか金の類いは持っていないから……ねじ伏せるか。
「ぐっ!?」
殺気を消してモヒカンその1に近づき裏拳で顔面を殴り飛ばす。
「てめ
「遅い。」
モヒカンその2がナイフを振るうがシェンショウジンが防ぎ、脳天を穿ち壁に頭の中身がへばりつく。
「ひ、ひぃぃぃ!」
「……失せろ。そこに転がっているお前の仲間だった物になりたくなければ俺に関わるな。」
「は、はいぃぃぃぃぃ!」
モヒカンその1は俺に脅されるまま、地面を這ってどこかに行ってしまった。
さて、これからどうしようか……。シェンショウジンはあるが、あくまで使うには認識が必要となる。つまりは奇襲に弱い。補うためにはまずは武器とかを何とかしないとな。
「武器を買うためには金が必要、か……。」
金を真っ当な手段で入手することは不可能に近い。となれば、裏金、闇金に頼る事になるが……それでは結果的に足がつく。
となれば自給自足しかない、か……。
「いや、『あれ』があるか。」
あれなら俺がどのような人物なのかを伝えなくても良いだろうし、国を越えて支部がある。隠れ蓑にするにはちょうど良い。
そうとなれば、さっさと行こうか。




