スキル検証
「……さて、どうしようか。」
夜の山を下っていく中、考え込んでしまう。
弓も矢も無く、ナイフすらない。次いで言えば武器になりそうな物どころか破れかけの服以外は何もない。こんな状態じゃ復讐する前に死んでしまう。
他の魔族の村に行こうにも場所が分からないし、ヒューマンである俺が行ったところで何の意味もない。
俺が魔族たちから信用されるには……実績が必要だ。それがない限り信用されることは無いだろう。
近い問題から遠い問題まで……問題が多すぎないか?
取り敢えず、武器が欲しいな……。
「あいてっ!?」
突然頭上から降ってきた何かが頭に直撃し、山を転げ落ちる。
いってぇ……。木の枝か……?いや、あの固さはどちらかと言えば人工物っぽいが……。
「なんだこりゃ?」
頭を擦りながら立ち上がり、俺の周りをふわふわと浮かんでいる顔ほどの大きさがある銅鏡を突っつく。
これは……さっきまでこんなもの無かったが……。しかも、この銅鏡から感じる魔力は……俺のものだ。
となると、まさか……。
「俺の、スキル……シェンショウジンか?」
シェンショウジン……スキルの内容は分からないし……今あっても意味がないよ
「うわっ!?」
いきなり鏡面が白色の光を発光し初め、横に避けた瞬間、光の弾丸が打ち出された。
「ひぇ……。」
光の弾丸が通った道を見ながら、腐葉土の上に尻餅をついてしまう。
弾丸が通った軌道に合ったものは大きい物は穿たれ、小さい物は消滅していた。また、通った場所からは魔力を一切感じれない。
まさか……魔力消滅を光を放てるのか……。しかも、俺の魔力はそこまで減っていない。鏡に入れる魔力の量によって威力が変動するタイプか?
……これだけの威力だったらそこまで魔力を使わなくても問題無さそうだけど……。
『ぐるうっ……。』
茂みから俺の体格を凌駕する大きな熊が出てきた。しかも、熊の体に漲る力は……魔力だ。
恐らく、熊の魔法生物なのだろう。何時もならこの時点で逃げているが……不思議と、高揚感がある。まるで、闘いを楽しもうとしているかのように。
「……丁度いい。実験台になれ。」
『ぐおおおおおおおっ!』
立ち上がり、振り下ろされる爪を銅鏡を足場にして跳躍して避け、その顔面を蹴り飛ばす。
成る程、念じることで銅鏡を動かすことが出来るのか。これなら、光を放つ以外にも色々と使う事が出来る。
『ぐおっ!?』
「遅い!」
蹴られた事に怒った熊は爪から風の刃を出すが、それを幾つもの銅鏡を生み出して防ぐ。
しかも、念じれば複数個出されるのか。しかも、魔力を行使している感覚はない。出し入れするのは自由だと言うことか。
「これで、おしまいだ!」
『ぐおっがっ!?』
鏡から放たれた光の弾丸を鏡で反射させ、心臓の部分にのみ照射させて心臓を穿つ。
そのまま死に絶えた熊は血を流さずにあっさりと絶命する。
鏡面に当たれば光は屈折し、消したい物だけを消すことも可能なのか。
これは、凄く便利だな。恐らく、魔力由来のエネルギーなら認識すればどんなものでも反射出来るのだろう。
「今日のところは……熊の肉でも食べて寝よ。」
熊をレーザーメスの要領で切り裂き、適当に木の枝を集めて光を照射して火を発生させて肉を焼く。
……うん、筋が多い。鹿肉の方が圧倒的に美味しい。




