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喪失
「僕」にもたらされた突然の悲劇……。
身を裂くように寒い雪の日曜日
滅多に鳴らない年代物の電話が鳴り響いた。電話をかけて来た女の泣き声が不快だ。
あいつが死んだ。
交通事故らしい。あいつと助手席にいた妻は即死した。その日学校に居た娘だけは助かったらしい。
「俺もあいつも、親の愛を知らない。だから娘にはたくさん愛情を注いでやりたい」
そんなことを言っていたことを思い出す。
皮肉なもんだ。
笑いが漏れる。
電話口の相手は怒っているようだったが、とにかく葬式に出てほしいということはわかった。
果たしてこの屋敷に喪服はあっただろうか?
そんなことを考えている自分の心は今、喪失感を感じているだろうか? 悲しいと思っているのだろうか?
それとも、なにも感じていないのだろうか?
わからない。しかし涙が流れる気配はなかった。
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