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僕とわたし  作者: スナオ


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3/15

ふたりの子どもと絵本

ある秋風薫る日曜日。


 親友とその婚約者……もとい妻が屋敷に来た。ここの庭は観光地ではないのだが、あいつの妻はここの庭が気に入っているらしい。二人の娘も大分大きくなっていた。前に会ったときは赤ん坊だったのだから当然なのだが。

 そんなことを思いながら紅茶を飲んでいると、娘が近づいてきてじぃっとこっちを見上げてくる。


「なんだ?」


「絵本読んで!」


 にこにこと笑っている少女の手には絵本どころかなにもない。顔をしかめないようにしながらこの子の父親を見たが「読んでやれよ」という視線が返って来た。仕方なく少女を屋敷の図書室に連れていくことにした。

 図書室に連れ込むと少女は、うわぁという感嘆の声を上げながら駆け出していった。その様子を見ながらため息を着くと、窓辺に置かれたソファに腰かけた。しばらくすると少女が一冊の絵本を携えて戻ってきた。


「これ読んで!」


 少女が手渡して来た絵本にはサンタクロースの格好をした幼い少女が描かれていた。


 “Santa Claus of spoiled”?


 「甘えん坊のサンタクロース」か?


 どんなサンタクロースだ……。


「お前英語がわかるのか?」


「わかあんない!」


 はあ、ため息をついていると少女が膝によじ登ってきた。仕方ないので英語で書かれた絵本を適当に和訳して読んでやった。しばらくすると人の胸を枕にして少女は寝てしまった。


「おい」


 声をかけても目覚める気配のない少女にまたため息をついた。ふと眼下の庭に目を向けると、一組の夫婦が寄り添い、談笑しながら花を眺めていた。


 あいつら人に子どもを預けていちゃつきやがって……!


 イラっと来ていると少女が「んぅ……」と妙に艶かしい声をあげながらすり寄ってきた。寝ぼけて、というか寝ているようだ。そういえば、誰かの体温を感じるのはいつ以来だろうか?

 そんなことを考えているとなにもかもどうでもよくなり、体温の高い子どもの頭をゆっくりと撫でていた……。



無断転載、盗作を禁じます。

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©️スナオ 2020 All Rights Reserved.

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