魔界のクリスマス
「サタンサンタじゃない!!」
9時に来客があると連絡があったので正門に出たベリルと僕。
ベリルは、見たこともないはしゃぎようでサタンサンタと握手し、端末でツーショット写真を撮っていた。
誰だよ? となる視聴者の諸君。彼はサタンクロース。12月のあれだ。
魔界で超有名なサタンサンタさんだ。いつもの赤い服に白いひげ、黒い肌。
サタンの子孫などが扮装してプレゼントを配るのだった。
毎年病院やダンジョン運営している人たちにサプライズでプレゼントをくれる。
魔界から抽選で100ほど選ばれるのだが、なんと今年はベースメントピットが対象になったようだ。
ちゃんと宣伝用のカメラマンたちがいる。中継で魔界全土にこのボランティアは発信されているのだ。
サタンクロースがパチンと指を鳴らすと、ゲートからトラックが出てくる。
プレゼントを満載した横開きの大型トラックだ。
「メリークリスマス! いい夜を!」
サタンクロースは手を振って去っていった。
「あ、運転手の方は寮に泊まっていただくわ」
「わお!! 魔員1名につき1つ以上お渡しくださいですって!!」
いただいたプレゼントの数は200越え。
ベースメントピットの全魔員は120くらいなので十分すぎる数だ。
「中身の内訳表入ってるわ・・・・・・最新の端末が10個も!! 高級冷凍食品がそこのコンテナに入っているって!!」
「これさぁ、私が一番初めに貰っていいと思う? 最後の方がいいかしら?」
「まず1個貰って、余ったら追加で貰えば?」
「その言葉、アンタが責任持つのよね?」
「もちろん」
「よっし!! じゃあ最新端末!! コレ1か月の給料くらいするのよ!!」
満面の笑みを浮かべるベリル。
ベリルは会社用ではなく、個人用の端末を貰った。
ベリルの名前の横に受け取りチェック印をつけた。
『サタンクロースからプレゼントが届きました!! 手の空いた魔員の方は随時正門前までプレゼントを受け取りに来てください!! 日雇いでも派遣でも全魔員が対象です』
ベリルがダンジョン内放送で全階層に連絡を入れた。
『プレゼントは早い者勝ちよ!! 全魔員に1個はあるから今日中に全員受け取りに来るのよ!! ちゃんとチェックするからね!!』
放送を終え、待つこと20分少々。
のっしのっしとタイゾウが現れた。1番乗り。
「どれがいい?」
「すっげぇ~っす。どれでもいいくらいっすけど、選んでいいならこれっす!!」
「え~っと、牛鬼プロテイン? 袋のナンバーはNの3」
「重いけど、こんなのでいいの? 最新端末ならあなたの給料より高いかもよ?」
「知らないっすよねベリルさんは。これ、すっごい貴重なホエイが入ってるんす。今、入手に2年以上待たされるっす」
「そんなものがあったの!? 私もちゃんと見ておけばよかったかしら」
「もし明日まで残っていたらもう1回貰えるから、見に来てちょうだい」
「わかりましたっす」
ベリルは端末からタイゾウにチェックをした。
すぐに次の魔員が訪れる。
「あら、リィラ、暇になったのかしら?」
「だって早い者勝ちだっていうから来ちゃいました~」
「はい、好きなのをどうぞ」
「・・・・・・この冷凍食品セットを頂こうかしら?」
「そんなのでいいの? ―さっきタイゾウにも言ったわね。ってことは金額以上の何かがあるのね?」
「そうですよ~。これ、外のモンスターから作った珠玉シリーズっていう有名なやつです。数量限定で全然買えないんですよ~」
「・・・・・・もしかして、私早まった?」
「あ、一番後ろに黒狼用っぽい肉塊と固形フードっぽい名前が書いてある。―なにこれ? 社長の魔人が食べる食事と同じ食材?」
「うそでしょ!? この20キロ分で1か月分の給料が!?」
ベリルは端末の検索結果に目を見開いていた。
「これ全然買えない高級ブランド物じゃん! これ着て来週のホテルで・・・・・・」
派遣のピクシーの女の子はニコニコでブランド下着を持っていった。
ちなみに彼女たちの問題は解決して、きちんとダンジョン内で戦ってもらっている。
「ホントにミスった。生きてて一番の失敗かも」
ベリルは最新端末を取ったことを非常に後悔しているようだった。
どうしてプレゼントがやたらピンポイントで入っているのか。
僕が情報を流していたからである。
打診があった時点で、色々とやりとりがあって、内部の欲しい物を選定していた。
プレゼントをあげる側というのはいつの時代でも、誰でもこういうことをするだろう。
「サブー、じゃあ交代ね~。あなたは何にするの?」
「ベリル、ご苦労様でした。そうですね~、最新端末にしようかな」
「はーい。じゃあアンタ、飲みに行くわよ!! 独身のさみしいクリスマス!!」
「ほいほい」




