OJT2日目
面白かったら評価をお願いします!
「親方、進捗はどうですか?」
翌日の木曜日、階層入れ替えのための準備場所にベリルたちの姿はあった。
広大な敷地に意味ありげな墓所を作っているところだった。
全員がヘルメット着用の上、作業を見守る3人。あ、僕を含めて4人ですね。
「いやあ著名人の墓に何入れるかが難航してましてね、何か提案ございますか?」
「そうですね・・・・・・冒険者たちは何を欲しがっているのか調査しましたか?」
「やりましたが、全部当たりにするってのも違うじゃあないですか」
「ああ、その人にとっては大事なもので、入っててもおかしくはないけど値打ちのなさそうなものを探ってるってわけですね」
横でメモを取るキララ。
そのまなざしは真剣そのものだった。
OJT2日目の午後、食事休憩中。
今日は朝の黒狼へのエサやりはキララがやっていた。
「キララはどうしてこの仕事に?」
「私、田舎から来てるんですけど、やっぱり都会でバリバリ働くのに憧れがあって。いい学校は出さして貰ったんですけど、ようやく受かったのがこの会社でした」
「最近生まれて初めて都会で面接を受けるのに深夜バスを使ったんですけど、二度と乗りたくないですね」
「そうなんだ。私はずっと都会にいるからな~。あ、でも6年前に出張で極南に行ったわ」
「あの治安の悪さで有名なところですか・・・・・・ベリル先輩はどうしてこの仕事に?」
「まあ将来のためかな~。40年くらいやって転職するつもり」
「そうですよね、一生ダンジョン管理は体壊しますもんね。若いうちにやるべき仕事だっていうのはずっと変わってない」
午後は書類仕事とデスクワークをこなし、キララとお別れの時間がやってきた。
「ベリルさん! ご指導ありがとうございました。私、立派にダンジョンマスターを務めて見せます!」
「頑張ってね、困ったら連絡ちょうだい。相談にはいつでものるよ」
「はい。では、失礼します!」
寮へと帰っていくキララ。
見送ったベリルは、まだサブマスターとのやりとりが残っているのだ。
ダンジョンの面積増加は街の酒場での口コミが大体をしめる。
評判が良ければ土地の開拓許可がおり、準備ができ次第土地を崩してそこに施設を転移させる。
老舗のダンジョンともなるとその歴史は数千年以上になることもあり、ベリルの運営するダンジョンはここ20年という異世界勇者転生バブルにできて、急成長著しい期間を経て、徐々に成長が止まったところだった。
夕方19時。11層から魔界につながるゲート。その魔界側にある徒歩3分の赤提灯のぶら下がった居酒屋。そこがベリルのお気に入りの店だった。
ここ100年の働き方改革により、上司から誘う飲みの席は廃止となった。
代わりに飲みたい新米から上司を誘って奢ってもらうのが一般的だ。
上司は部下からの飲みを法律で月に3度は断ることはできないことになっている。もちろん毎日とか過度な要求はご法度だが。
一応、僕はベリルの上司にあたるため、毎週金曜日のベリルとの飲みの席を断ることはできない。
『今日もお仕事お疲れ様で~す!』
『お疲れ様でーす!!』
様々なモンスターが働く居酒屋。
「コカトリスの砂肝串焼きに~野菜スティックにジャイアントクラブの味噌で!」
「僕は―エリンギ串、うずらの卵盛り合わせにチャーシュー丼」
「はーい! 少々おまちください!」
「いつもこの調子なんですか?」
「まあ。一昨年とかよりは忙しくないよ」
「ああ・・・・・・4層と6層の管理者が不倫して両方退職でしたっけ?」
「そうよ! チート勇者が来てんのに! マ~ジで忙しくて死ぬかと思った」




