1層管理者 ワーウルフのリィラ②
「ベリルさぁん、やっちゃいました~」
「どうしたの!? ひとまず泣くのをやめて?」
パソコンルームに泣きながら入ってきたリィラ。
リィラが泣き止むのを待つ。
「落ち着きました。ダンジョンの中で魔物を数えてたんです~。そうしたら気づかないうちに後ろに冒険者がいて~」
「そのまま逃げることもできずにバレちゃいました」
「一応うまくごまかせたつもりなんですけど~」
「なんだ。そのくらい。あなたの見た目なら不自然なことになってないでしょ。私たちみたいに耳がとがっているとかでないし」
ワーウルフのリィラ。
彼女は人狼である。
通常の見た目は人間と変わらない。
しかし、一定の条件で半人半狼状態に変身する。詳しくは教えてもらっていない。
先祖の可能性がある黒狼と仲がいいのはたぶんそういう理由だ。
大変面倒見がよく、世話好き。
人間の年齢で言うとまだまだ若い。人狼からすれば子供扱いされる年齢だ。
もっとも、生き物をシビアに扱っている彼女の精神年齢はそこらの大人以上。
もし、彼女の命令で下級魔物がすべて一斉に襲い掛かってきたら、魔人の僕らでも対処は面倒だろう。
だから、彼女がこのダンジョンの1層を任されているからといって最弱ではないのだ。
・・・・・・最弱は誰なのかって? 5層のコマンダーワンだろう。管理者じゃないけど。
「まあ大丈夫よ! きっと。今度視察に行ったときにそれとなく探っておくわ」
後日の土曜日。
ベリルはアンジェリカとダンジョン上の街へと出ていた。
ダンジョンへ潜ることを管理しているという冒険者ギルドへ。
リィラの人相書きが貼り出されていた。
「ルールという青髪女性の目撃者募集!?」
「マズイわ。リィラのことが手配されてる」
「気を付けて出ないと次はごまかせないわ。最悪連行されるかも」
ダンジョンに戻ったベリルはリィラへ大事な話をしに1層の牧場へ向かった。
「リィラ、あなた手配中よ。いっそう気を付けて、もしくはダンジョン内に入るのは他の魔員に頼みなさい」
「・・・・・・はい。迷惑かけてごめんなさい―」
「いいのよ。仕事している結果だもの」
泣きそうな顔になったリィラを抱きしめるベリル。
「そこで! 休暇はどうかしら? 別の管理者をこっちで探すわよ?」
「もう何年もあなたの休暇申請を受けてないもの。有給は半年でも使えるわよ?」
「・・・・・・でも行きたいところも無いですし。あの子たちが家族ですし」
「じゃあいいわ。1日だけ! 1日だけ魔界で遊んできなさい。命令よ」
「―魔界のことあんまりわかりません」
「コイツを連れてきなさい。金も全部コイツ持ちにするから」
有無を言わさず僕のことを指さすベリル。
まあリィラのリフレッシュに付き合うのは構わないが。
日程を決めて、あとのことはブリッツとかに頼むことに。




