眼鏡の勇者と3人の冒険者
『ビー、ビー、ビー。警告! 警告! チート使用者が進入しました!!』
「来たわね―」
午前9時。
緊急をつげるブザーが鳴る。宇宙船内部のような、各魔員用通路に設置された青いパトランプが一斉に回りだす。
ベリルはロッカーからスーツを取り出し、更衣室へと消えた。
戻ってくると、ベレー帽に深紅のスーツに身を包んだベリルになっていた。
「状況確認!」
『分厚い眼鏡をかけた女が勇者みたいです。他は服装から現地の冒険者かと』
「勇者は1人か。しかも魔法使いっぽいわね」
少し前より、3層は迷路ではなく広い墓地へと改装されている。
なぜか触手プールは健在だが。
1層の間にドローンで近距離に寄って動画を撮ってパソコンルームで詳細アナライズ。
「なによこの女、いっちょまえに暗黒魔法が使えるんじゃない」
「そんなもの、どうせ高位の魔物には効かないのにね。人間界でイキるのにはいいけれど」
「あ~ん、目が無くなっちゃったから責任取って目になってよ~、とかやるんでしょうよ」
「五体満足のアンタにしか価値はないっての。介護士かって」
ベリルは暗黒魔法に対してものすごい偏見が混じっている。
そういう映画が流行った時期が昔あった。人間との恋愛ものだ。
詳細は割愛するが、その映画の影響でベリルや僕の世代では眼帯ブームがあった。今思えばイタイ中二病みたいだね。
もちろん暗黒魔法に対する皮肉だよ。そんな自己犠牲魔法は魔界で使っているものは極少数だ。
ベリルは5層でアンチチートをオン。
ついでに6層の吹雪を緩く設定。
今回、9層で朱雀の実力テストをする予定で勇者を下らせている。
朱雀本人曰く、
「ダンジョンちゅうのは初めてやさかい、勝ったり負けたりせなあかんのやろ? 本気でやったら全部消し炭やから、3割くらいでやったりますわ」
けっこう胡散臭い方言を使う朱雀だった。
翌翌日。
7層でグリーンドラゴンをキラキラにした勇者。
ちょっとドラゴンの勤務態度を注意する必要がある。ベリルはお冠だ。
7層のユーベルトへクレームを言いにエレベーターへ。
「ユーベルト! ドラゴンたちの勤務態度が悪いわよ!!」
「すまんのぅ。あいつら見られてないと思っとるんだわ。失敗失敗」
会社の上から連絡が入る。
ベリルはちゃんとパソコンからカメラ通話をして、今回の勇者たちをやっつける旨を伝えた。
朱雀が関西弁っぽいのを話していますが、身近に関西弁を話す人がいないのでそれっぽいやつになっています。




