眼鏡の勇者たち
石扉の前には4人が手を繋いで並んでいた。
門番に見守られながら、合図を待つ。
「午前9時。攻略を始めてください」
私たちは扉を押して開け、ダンジョンに入る。
分厚い眼鏡をかけている私。リーダー、ユイナ。魔法の勉強をしていたら転生勇者のくせに目が悪くなってしまったのだ。
私の横にいる彼はケルドン。鍛えた体で戦う元剣闘士。
その隣の彼女はマグノリア。私より年上の魔法使い。でも使える普通の魔法は私よりも弱い。
でも代わりに暗黒魔法というものが扱える。代償を支払うタイプの強力魔法だ。
最後に左端はアルブルグ。彼は斥候兼近接戦闘要員で、治療技術もあるという。
この世界で回復魔法というものは使える者が限られている。
私以外は現地の冒険者。全員をお金で雇っている。この国で一番高い金額で雇えるS級というやつ。
SS級と呼ばれる最高位の冒険者はお金では動いてくれなかった。
私は他の勇者が信用できなかった。
特に能力に驕り、努力を怠っている者たち。
現に2人はこのダンジョンに入ると言ったきり、消息は不明となっている。
もちろん私たちの目標はダンジョンの攻略。
最下層の階数は不明だが、9層までたどり着いた人がいる。
そこではネットアイドルと戦ったと言われ、ちゃんと記録も残っているという。
見るのに高額な料金を払えと言われたのでスルーしたが。
私たちは日本やあっちの世界につながる手段はない。というかそんなものを願ってここに召喚されたり転生している人間はごく少数だろう。
大多数がこの世界を快適に過ごす、そして誰にも負けない最強の存在を目指しているはず。
難しいダンジョンをクリアすると箔がつく。すると勝手に仕事が入り、どんどん稼げる。
今のところ誰も攻略の証を入手して脱出したことのないこのダンジョン。
私たちが一番乗りでクリアしようと士気は高かった。
攻略に向けてリサーチはばっちりしてきた。大枚をはたいて情報を買った。
1層から3層までは大したことがない。これは誰もがそう言っていた。
3層にバジリスクが出現した場合のみ、大幅に難易度があがる。
4層も何もいない場合があるらしく、再現性は不明だ。
5層は魔法使いであれば大して難しくない。
6層、雪原。ここが鬼門で、どうやら現地の魔法などしか使えないのでどうしても進むのがゆっくりになってしまうらしい。
しかし、アイテムは5層で荷物を出せば持ち込めるということだ。
なのでたんまりとドリンク剤を持ってきた。
7層。逆に火山のような地帯。でもそんなに熱くはないらしい。ここにはドラゴンがいるとのことだ。強くはないとのこと。
8層、暗い森だということだが、モンスターは確認できていないとのこと。
9層。大型スタジアムだったらしい。花火が上がったことから何らかのギミックがあるようだ。
入って9層までは約5日ほどの行程だと聞いている。
もちろん特殊なアイテムや魔法が使えればもっと早く到達可能だと。




