3層、墓場
3層。ここが友人が作ったという階層だ。ここを見て、あとで彼に感想を伝えればいい。
ひとまず雰囲気はとてもいい。おどろおどろしい雰囲気で不気味だ。
杖を取り出す。ただ虚空に手をかざすだけで長い杖はすぽりと手に収まった。
「このお墓にギミックがあって、下からゾンビが出て来れるんですって!」
「・・・・・・今日はお休みなのかしら?」
「ああ、なんかゴーストっぽいのが・・・・・・何かしらアレ?」
まとわりついてくるゴーストをオーラの魔法で追い払い。
墓の間に高身長の人型。剣のようなものを持った魔物と思われるものを目視した。
フラフラとこちらに向かってゆっくり歩いてくる。
つぎはぎだらけのレブナント。
「おお! もしかしてボスってやつ!? いいじゃない! 面白そう!」
実は私はダンジョンに入るのは初めてだった。
年甲斐もなくはしゃぐ。
「ようし! ちょっと倒してみましょう。生き物じゃないし、せっかく来たんだからね」
「まずはメイブン、攻撃してみなさい。私がトムを守ってるから」
「えええ!? ワタシがですか!?」
「今使える一番強いやつでやってみなさい。相手が人じゃあないから、全力でぶち込めるのは今日だけよ~」
「―やってみます! 風よ、風よ、竜巻となり吹き飛ばせ!!」
竜巻が発生し、墓地の砂利を巻き込んでレブナントを吹き上げる。
飛んでくる銃弾のような砂利を私は防御の魔法陣で弾いた。
真っ暗な天井付近まで飛ばされたレブナントが降ってくる。
おおよそ15mほどの地点から自由落下したレブナント。
人間が首から落ちたら間違いなく重症だ。
倒れ伏したレブナントに追撃をかけるメイブン。
「すべてを切り裂け魔法の斬撃!!」
下から上へと杖を振るい、衝撃破で攻撃した。
立ち上がろうとしていたレブナントはスパッと正中で半分に切れた。
人体模型の完成だ。
しかし、当然再生する。ぐずぐずと。
「がんばりましたよぅ。もう魔力がないですぅ。あとはお師匠におまかせしますぅ」
私の番が来た!
「氷の槍をくらいなさい!!」
空中に氷の槍を作り出し、射出した。
レブナントの胸を貫通し、倒れるレブナント。凍らせれば足止めできるかと思ったが、耐性があるようだ。
当然修復されて起き上がってくる。
「たまには近接もやろうかな!!」
私はヘイストを自分にかけて、レブナントに近寄った。
杖を魔法の大鎌に変化させて振るう。軽くて使いやすい。
ブンブンと振り回される剣を捌く。
「おおっと! 魔法の鎌でも壊せないの!? すごいの持ってるじゃない!」
魔法の鎌の刃でロングソードを引き切ったつもりだったのだが、ガチンとぶつかった。
強化された高級武器だ。
左腕から掴みが来る。
鎌を支点にして空宙返りして避ける。
まだまだ掃除屋としての勘は鈍っていない。ちょっとは弟子にいいところを見せなくちゃ。
レブナントから目にもとまらぬフェイントを含む二段突きが放たれた。生前は相当な強者だったのだろう。
「お師匠!!」
「なあに?」
「!? いつの間に!?」
「目に見えるものがすべてじゃないのよ」
私はダミーの魔法と透明化の魔法を組み合わせて、メイブンたちの位置へと戻っていた。
胸を貫かれたのは影。
「遊んだ遊んだ。さあて火葬の時間よ!!」
「土よ、腕となり敵を捕らえよ! ―獄炎よ虚空から噴き出せ!!」
地面から生えた無数の腕がレブナントを捕らえる。
そこに最強の火炎魔法で延々と焼く。
食欲の失せる独特の臭いがあたりに充満した。ちゃんと空気清浄機が働いているようで、ずっと残っている感じではない。
もがき続けるレブナントを3人でしばらく眺める。
ついにレブナントは灰になった。
「久しぶりに楽しかった! いい難易度ね!」
「・・・・・・イーヴィさま―」
「なにかしらトム」
「・・・・・・」
トムとはもう少し仲良くならなければいけないようだ。
何やらプールの向こう側に階段があったが、今回はここでおしまいにする。そろそろ魔界に帰らなければいけないしね。
また息抜きにダンジョンへ入ってみようと思った私だった。




