職業ダンジョン攻略者
石扉の前には4人が手を繋いで並んでいた。
門番に見守られながら、合図を待つ。
「午前9時。攻略を始めてください」
俺、一応リーダーということになっている、マグナスだ。魔法剣士。
ジルバ、魔法剣士。
オーザー、両手斧使いで神官。ただし、回復魔法が使えるというだけで信仰心は大してないようだ。
セイジ、軽装の細剣使いでクロスボウも背負っている。
全員が器用なタイプで、比較的どんな戦い方もできる。
むさくるしい男4人というパーティだが、気楽ではある。
本当に仕事だけの関係だ。
知っている素性は全員が能力持ちの日本からの転生者ということだけ。
普段は別々に行動し、ダンジョン攻略の仕事のときだけ集合する。
「最近景気はどうだい?」
「いいよ。前より全然」
セイジの持つ松明の明かりを頼りに100段ほどの階段を下り、目の前は森林だった。
これも下調べした通り。中は簡単には変わらないようだ。
誰も最深部に到達したという話がないダンジョン。俺たちが最初に攻略して有名になってやる!
「なんか4層の様子がおかしかったってよ」
「9層まではあるんだろ? 全然中間の話じゃねーか」
「まあ平気だろ。あんなひょろい男と女の話だしな。能力持ちって言ったって魔法が使えねぇっていうんだから」
「6層で撤退なんて、本当に国を救ったのか怪しいもんだぜ」
「誰か乗り物使えるようになったりしてねぇのかよ」
「そういうお前が作れよ」
「できるわけないだろ。俺中卒よ?」
「全然頭いいやつ転生してこねぇんだよな。車でも作れるやつ来たらすぐ俺たちが囲ってやるのに」
バカな話をしながら1層を抜ける。道なんか調べなくても魔法のコンパスで迷うことなく、あっという間、とはいかないが4時間ほど。
襲い来る雑魚モンスターを倒して階段へと一直線。
下って2層。
「なんだよ全然簡単じゃん。さっきと全然変わらん」
少し水辺が増えて、襲ってこない野生動物が増えた。
「おいおい、実は1000層とかあったりしないよな? 10層くらいこのままだったらマジでヤバいぞ」
「ちょっと兄さんがた、ユニコーンの角を採れたら取っておくれ、ここを出てから礼をするから」
別のパーティに声をかけられた。
「希少なユニコーンを殺すんじゃあないですぞ、角だけ取ってきてくだされ。やつらの角は生え替わるのでなぁ」
「余裕があったらな! でも処女がいなきゃあ見つからないんじゃねぇのか?」
「いや、兄さんがたなら遠目から魔法で捕らえられるでしょう。勇者さまがた」
「コイツの妹が病気で苦しんでいて、でもこれらを売っても希少なユニコーンの角を買えるほど金がないのです。思ったよりも3層のモンスターが強くて、我々は帰るところです。ここで出会えたのも何かの縁と思って引き受けてくださらんか?」
「いいですよ。攻略して帰りにでも渡しますよ」
セイジが安請け合いした。
3層。
「おう、どんどん来ていいぞ!」
アンデッドは神官のオーザーにとってどんなやつでも雑魚だ。
階段の周りに触手のいるプールがあった。
「なんだ? フライが使えねぇ。全員泳げるか?」
「着衣はやったことないけど、パンツ一枚になれば大丈夫だと思う」
「オレも」
触手に撫でられてくすぐったかったが、食われたりはしなかった。




