↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンマスター・ベリル ~みなさんの攻略をお待ちしています!~  作者: GANON
本編5

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/61

大事な判断は迅速に

 2層の監視室。ベリルはタイゾウと通話していた。

 そろそろ4層のタイゾウと戦闘なのだ。


「タイゾウ、今回の勇者とは戦えそうだよ」

『おお、やっと歯ごたえのありそうな敵と戦えるんですね!』


 これまでも4層までたどり着いた冒険者はタイゾウと戦っていたのだが、腐っても魔界闘技で戦う実力のあるタイゾウがポンポン負けるはずもなく、一通り壊滅させていた。

 

 タイゾウは自分の手足を使った物理攻撃が主体だが―自分を強化するタイプの魔法に、詠唱のいらない簡単な魔法を扱える。

 

 まず、ヤシの実を素手で潰す怪力でデコピン程度でも人間の頭を吹き飛ばす。

 

 3mを超す体躯から繰り出される強化パンチは、2トントラックに衝突したときと同じくらいだ。

 

 200キロを軽々超える体重から繰り出されるショルダータックルともなれば、風圧でひ弱な魔法使いが気を失うほど。


 そしてタイタンは正々堂々を重んじる種族。可能であれば冒険者に一対一の勝負を申し込むこともあるくらいだ。


 しかし、普段はジャンクフードを愛する礼儀正しい青年である。


「オレサマニカテルカナ!」


 タイゾウはカタコトの人間言葉で勇者を挑発する。

 見ている皆様は我々、魔物側は基本的にモンスター語を使っていることをお忘れなきよう。

 僕が翻訳、編集してみなさんに伝えているので。

 ちなみに大学出身のベリルは地球の大体の言語が話せる、書ける、そしてこの世界の言葉も完璧にわかるのだ。


「マズい!!」


 タイゾウの頭にハンマーがいい角度で入ってしまった。

 どれだけタイタンが頑丈でも、脳震盪は発生する。

 脳を揺さぶられたタイゾウは意識が朦朧としているようだ。


「叫べタイゾウ!!」


 大声をあげればその時点で転移が発動し、病院に飛ばされるのだが。

 タイゾウの目はまだ戦おうとしているようだった。

 振りかぶられるハンマー。


「くそう!!」


 ベリルは目にもとまらぬ速さで端末を操作し、4層ボス部屋の強制転移を発動した。


「・・・・・・」


 タイゾウがキラキラに包まれ、消えた。

 うなだれるベリル。

 僕がかける言葉はない。これはダンジョンマスターである彼女の判断だ。





「ベリルさん―すまねえっす」

「いや。私も悪かった、タオルなんか投げて」

「めちゃくちゃ迷ったっす。負けたくないし、仕送りもしなきゃなんないと思ったら、仕事を全うしなきゃって」

「いいよ。勇者相手ならすぐ逃げて。給料は変わんないからね。アンタの代わりはいないんだ」


 魔界病院の一室に入院着を着たタイゾウとスーツのベリルの姿はあった。

 ベッドに入っているタイゾウの太い腕には点滴が刺さっている。

 ベリルのやったことは始末書ものだが、判断としては命を守る良い判断だった。

 僕はこの件に関してベリルを責めることはしないし、映像を見た上もちょっとした小言で済ませるだろう。

 6層に到達した勇者たちは既に撤退していた。


「死ぬのは怖かったかい?」

「いいや、全然怖くないっす。いずれ死ぬなら、戦って死ぬっす」

「さすがタイタン。私は死ぬのが怖い。仲間が死ぬのが怖い。本当はゴブリンも殺されてほしくはない。私は人間にだって特別恨みはない」

「・・・・・・ベリルさん」

「それでも私は、この仕事を自分で選んでダンジョンマスターをしているのよ。私があなたたちをできるだけ殺させない」





 ベリルがドヤ顔でこちらを向いた。


「どう? いいの撮れた?」

「台無しっす」


 向いたベリルの顔は赤かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。