黒衣の2人と恐竜魔物
『ビー、ビー、ビー。警告! 警告! チート使用者が進入しました!!』
「来たわね―」
午前9時。
緊急をつげるブザーが鳴る。宇宙船内部のような、各魔員用通路に設置された青いパトランプが一斉に回りだす。
ベリルはロッカーからスーツを取り出し、更衣室へと消えた。
戻ってくると、ベレー帽に深紅のスーツに身を包んだベリルになっていた。
「状況確認!」
11層のパソコンルームから端末に向かって叫ぶベリル。
『今回は2人とモンスターです。黒い装束に双剣、男性。もう1人も黒い装束にハンマー。こちらは女性。そして茶色い小さい恐竜のようなモンスターですね』
「なんだろう? モンスターをテイムしているのか?」
『従っているのかどうかは不明ですが、全員キチンと体を繋げて進入してきたので、仲間だと判断します』
「わかった。引き続き監視を頼んだわ」
『ラジャー』
「まさかチート勇者のくせに歩き? アイテムボックスの腕輪はつけているようだけど・・・・・・」
「どう思うガノン?」
僕に話が振られる。
最近ベリルがよく話しかけてくる。何か気持ちの変化でもあったのだろうか?
「温存しているのか、はたまた移動手段を持っていないのか。いずれにしてもすぐに突破はされないんじゃないかな?」
「今時そんなやつらいるの? ―地図も手書きし始めてるし、マジで何ももってないのか?」
端末から流れる監視動画を見ながらエレベーターへと向かうベリル。
4基あるエレベーターのうち豪華な幹部専用機に乗って5層へ。
いつもの通り休憩室の鍵を4つ開けて、アンチチートのスイッチを入れて6層だけを強化した。
『特に魔法で強化したようなアイテムを持っているようではありません。倉庫の腕輪と身体強化がとても強くかかっているようですが、今のところそれくらいです』
「ふぅん。古式ゆかしいタイプの勇者ね。まだそんなやつら居たんだ」
「ちゃんとアナライズしてみて。その挙動なら私じゃなくても撮れるでしょ」
『わかりました』
ポーロからの通話にそう返すベリル。
ベリルはドローンでの撮影資格を持っていた。
「こりゃあしばらく暇そうね」
「今日も飲みに行っていいかしら?」
「いいですよ」
ベリルの肝臓が心配になるところだが、それはもうちょっとしたらある健康診断の結果次第で注意すればいいだろう。




