黒衣の2人組チート勇者 ①
どこかで見たような方たちですね。すみません。
石扉の前で2人と1体が許可を待っていた。
午前9時になった。
「攻略を始めてください」
監視から合図が出る。
石扉が開き、俺たち2人とスモールディノは手を繋ぎ、お互いの体を触りながらダンジョンに侵入した。
アイテムボックスから明かりの杖を出し、階段を下っていく。
黒衣を着た俺、双剣使いでテイマーのエリック。
隣の黒衣を着た女はハンマー使いのクロエ。
そしてスモールディノのデューノ。
俺たちは1つの国を悪いドラゴンから救った英雄・・・・・・なのだが、英雄扱いが非常にうっとうしいので、2つ海を渡ってダンジョンのたくさんあるこちらの国へと腕試しに来た。
転生時に貰った能力はアイテムボックスと、身体を大幅に強化する程度だ。
ようは魔法とかはからきし。全部アイテムと腕でなんとかしてきた。
そして、俺たちの着ているこの黒衣は別の国での最上級の防具だ。
下り階段を数えることちょうど100段、目の前には広大な森が広がっていた。
「ふぅん。通路があって、迷路みたいになっているんじゃあないのね」
「たしかになんちゃらのダンジョンっていうゲームはそうかもしれなかったけど、アレはそういう表現だったんだろ。もちろんここがゲームの世界じゃあないのが一番の理由だろうけど」
俺たちはオンラインゲームで知り合って、結婚までしたのだが、旅行先の飛行機事故で死んだ。
理由はわからないが、異世界に2人揃って転生して、そこでも奇跡的に合流したのだ。
まさに運命的な2人というやつなのだろう。
俺たちはもう既に合計で50年くらいの付き合いだ。
ここから50年生きるとして、そうしたら夫婦として100年以上一緒にいる感じだ。
「クロエ、地図を任せるよ」
「うん、わかった」
無限インクのペンで書いた手書きの地図。
今まで行ったいろんな場所の地図が彼女のアイテムボックスの腕輪に格納されている。
今回のダンジョンの地図もそこに入るのだろう。
「にしても、ダンジョンってどこも予約制なのかしら? だいぶ待たされたけど」
「大きいところはそうだって言われた。今更小さなところを攻略しても味気ないだろ。せっかくだから誰も攻略できてないって言われてるここにしたんだ」
野生動物の鳴き声のする森林を歩く。
もちろん警戒は怠らない。
寡黙なデューノが吠えたら危険の合図だ。
『グルゥ』
デューノが威嚇をしている。何か来そうだ。
木の裏からザラザラという音を立てて、1mくらいの大ムカデが襲い掛かってきた。
俺は腰から銀の双剣を抜き放ち、一閃、二閃。
胴体を3つ切りにしたが、うねうねと頭が蠢いている。それをデューノが食って戦闘は終わった。
「大ムカデ。レアモンスターではないな」
「そんな簡単に出くわさないでしょ」
「まあそうだな」
満足そうな顔をしているデューノを撫でて、どの方向に行くか決める。
コンパスは機能するようだった。
「入口は東。普通に考えるなら西方向に階段置くよなぁ」
「できるだけ土地を広く使いたいもんね」
もしここがゲームで、ダンジョンを作っている者に知能があるのならば、できるだけ遊んでもらいたいと考えるだろう。
というメタ読みのもと、西へ向かうことに決めた。
「やあぁぁ!」
今回はクロエがハンマーで鋭い刃物のような歯を持つ巨大ウサギをぶん殴った。
ゲームではないからちゃんと死体は残る。
デューノにこいつも食わせる。
「臭い。アンデッド地帯だろうな」
階段を下っている途中から異臭がすごい。
アイテムボックスから手作りの防塵マスクを出して装着する。
その前に。
「デューノ、しばらく待機だ」
テイムしているモンスターをカプセルに収納する。
ガチャガチャのカプセルのようなものに体を当てると、デューノは小さくなって収納された。
おそらく、これ以降の階層は簡単に食料の調達ができないだろう。
カプセルの中は時が止まるようなので、これで大丈夫。
「この灯りは?」
「わからない。魔法のようだけど」
通路には紫色の炎が燭台に灯っていた。
手を近づけても熱くない。触ることはしない。呪いとかかもしれないから。
「誰がこれをつけてるんだろう?」
「気をつけよう。ボスかもしれない」
腐乱死体をたくさん倒した。それに亡霊っぽいものを浄化聖水で払った。
切っても切っても、双剣の刃こぼれなどはない。それくらいの伝説級の品だ。
クロエはハンマーで叩くと飛び散ったブツが嫌だと言って、あまり戦わなかった。
「なによこのプール!」
「気色悪い触手だなぁ」
「今更裸くらい気にしないわ」
俺たちはアイテムボックスから水着に着替えた。
一応相手の着替えは見ないようにして。
ヌメヌメの触手が気持ち悪かったが、別に毒とかではなかった。




