休暇の思い出
「は~、遊んだ遊んだ!」
ベリルは休暇気分がまだ抜けないようで、パソコンルームでくるくると椅子を回して遊んでいた。
「どこへ行ってきたの?」
「暇そうなデイトレーダーの後輩どもと西の寒いほう。スキーにはだいぶ早いからオフシーズンで空いてた。んで、カニ鍋がめちゃくちゃ美味かったのよ!」
「温泉にも浸かりまくったし、これで1年頑張れそう」
「それはよかった」
「ところでダンジョンの運営はキララとちゃんとできたのかしら?」
「まあ、ぼちぼち。大きな問題は・・・・・・」
僕は思い出した、モノアイ・カメラの一件を。
ベリルにも伝えておくべきだろう。
いったん持っているカメラをオフにする。
「キララにモノアイ・カメラがつけられてた」
「何それ?」
「盗撮発見24時とかで見たことないかな? まあ盗撮されてたんだよ。たぶん彼女とダンジョン内」
「・・・・・・マジ?」
「すぐに気づいたからその日のうちに壊しておいたけど、キララは2週間くらい盗撮されてたかも」
「キモイわね。外部に流出とかしてない?」
「わからない。今、調査には入っていると思うけどまだ詳細不明」
「犯人捜しは任せるわ。私も気をつけるようにする」
ということで秘密の会話終わり!
カメラをオンに戻す。
「さぁてと、今日の仕事は~」
ベリルは端末をいじって今日の予定を確認する。
「ああ、健康診断の予約時期だったわね」
魔界健康診断。
詳細はおいおいわかるだろう。もうちょっとしたら僕も受けるからね。
「14時から改装階の中間報告か。親方、熱心なのはいいんだけど話が長いのよね」
前にキララと見に行った改装用の施設。
アレを3層か5層とまるごと取り換える計画がされていた。
もちろん魔員用通路等はそのままだ。変えるのはダンジョン部分だけ。
墓場なので3層と雰囲気が被ってしまうため、取り換える第一候補は3層だろう。
基本的にダンジョンの各階はオーダーメイドされる。
様々な雰囲気をまずデザイナーが考える。
それに沿って建築の専門家などが関わり、だいたいの人間や魔物では破壊不能なオブジェクトをふんだんに使ってダンジョンの階は完成する。
もちろん予算の少ない新規ダンジョンではテンプレートのものを使うし、100階立てダンジョンなんかはコンセプト被り階がいっぱいあることは少なくない。
面倒な魔物をたくさん召喚するギミックや、落とし穴、温泉など、様々なものがあるが、ベースメントピットではどれも採用していない。
理由は簡単。サプライズは不評につながる場合があるからだった。




