青年3人組勇者 ②
『グハハ、グハハ!』
俺たちは木陰から様子を伺っている。
ローブ姿の黒髪の女性が腰蓑だけ着たオークに襲われていた。
助けに入ろうとしたが、ランドンに止められた。
「なんでだよ? 助けて恩を売ればヤレそうだぞ。オークより俺らの・・・・・・」
「ダメだ。あいつハイオークだよ。めちゃくちゃ強い」
「―そんなにか?」
「ああ。ここのボスかも知れない」
女性は魔法が使えたようで、フラッシュでオークの目をくらまし、加速か何かの魔法で足を早くして逃走した。
俺たちもこっそり後をつける。
「ありゃなんだ? ユニコーンか?」
遠くの水辺に一本角の子馬がいる。
「あ、なんかに反応してどっか行ったみたいだぞ」
追跡するとさっきの黒髪の美人女性が1人だけ。今度はユニコーンに追われているようだった。
「ありゃ、見失ったな」
「おいおい。あのねえちゃん下ってったのか?」
「しかも処女ときたもんだ。俺たちでサッと助けて恩を売ろうぜ。誰からヤル?」
「俺だ!」
「俺だ!」
「いや俺だ!」
3層。
紫色に光る炎が灯っている不気味な通路。ここからはダンジョンらしく迷路のようだ。
炎は別に熱くなく、魔法でできているただの明かりのようだった。
「なんだよここ、人工物って感じじゃね?」
「すんごい臭いんだけど。死んだ生き物の臭い」
顔をしかめるランドン。
歩みを進めるとモンスターがいっぱい。
どれもこれも動く腐乱死体のようなものばかり。
幸い、足がとても遅いので捕まるようなことはそうそうないだろう。
しかし、
『ズルズル。ズルズル』
「なんの音だこれ?」
「そっちの先だな」
コーディは手鏡で通路の先を確認した。
「マジかよ。バジリスクだ」
「あの石化で有名なやつか?」
「たぶんそうだ。通路幅よりは小さいけど抜けられねぇ」
もうだいぶ進んでしまっているはずだ。前門のバジリスク、後門のアンデッド。
「おい、ヤバいぞ」
「どんどん来てる!」
圧倒的アンデッドの物量にランドンがやられた。
「うわぁああああぁああぁ!!」
コーディはパニックになって逃げようとして転んでアンデッドの群れに呑まれた。
もう全員で生存は絶望的だ。
俺だけでも地上へ帰還しなければ。
2層へ戻れば他のパーティに助けを求めることもできるだろう。
しかし、通路の向こうから出てきたのは大蛇。
目があってしまった。
(まずいっ)
「くっ、動け、うごけぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
叫びはむなしく響き、固まっていく全身。
もうどうすることもできず、一切動かない体と暗闇にはっきりとした意識だけが残った。




