青年3人組勇者 ①
石扉の前には男3人が手を繋いで並んでいた。
門番に見守られながら、合図を待つ。
「午前9時。攻略を始めてください」
俺たちは無言でうなずき、手を繋いで扉を開けて中に入った。
俺はリーダーのエイベル、格闘家。
そっちの短髪がコーディ、財宝漁り(トレジャーハンター)。
それで明かりの杖を持って一番前を歩いてる長髪が魔法使いのランドン。
100段ほどの階段を下り、森林に出た。
「聞いてる通りならここはめちゃくちゃ簡単なんだよな」
「そうらしい。本番は3層からだと」
「にしても広いなぁ」
何層あるのか定かではないが、今は3層までの到達部隊が帰還しているらしい。
逆に言うと4層があるなら、そこまで行ったやつらはもれなく全滅して、その結果次のパーティが入れるようにドアが開いているということだ。
「にしても他の転生連中はうらやましいよなぁ。個人で使えるアイテムボックスがあってよ」
「ほんとにな。アレはホントにチートだよ」
「なんで僕らは大したもの貰えなかったんでしょうね?」
「さあな? おおかた生前の行いが悪かったとかじゃねぇの? なあ浪人生」
「うるさいな。医学生なら3浪くらい普通なの」
俺たちは海外の電車事故で死んで転生した日本人3人組だった。
ちなみに長髪のランドンは撮り鉄をしてて巻き込まれるという非常に運がないやつだった。
全員がこの世界の神と名乗るやつにちょっとした能力を貰って、赤ん坊に転生した。
全員が同じ村で育ち、その能力で神童扱いされ、将来を嘱望されていた。
だが、俺たちワル3人はそんな真っ当で面白くない人生よりも美味い物を毎日食って、ついでにいい女を毎日ひっかける方を選んだ。
このダンジョンに入る前も超美人の2人組に声を掛けて、いい感じだったのだ。
ランドンは金髪が貧乳だったことに文句があったようだが。
前に入ったことがあるという冒険者連中から情報を収集した結果、下り階段は西のほうにあるとのことだ。
しかもかなり先。距離にすると10キロ以上歩くらしい。
それに加えていっぱいモンスターが出る。さきほどからゴブリンの弓兵が崖上で俺たちを見張っている。
どうやらリーダー格がいそうだ。
「見られてるのはわかってるよな?」
「ああ、もちろん」
「やりますか?」
「まだいいだろう。リーダーがでてきてから皆殺しだ」
蛇行して歩き疲れたように見せ、岩に腰かけ休憩のポーズをとる。
するとゴブリンの見張りはどこかへ消え、しばらくしたら、
『ウギャャアァ』
5体のゴブリンと豪華な飾りをつけたリーダーのような奴が襲ってきた。
休憩中を襲ったつもりだったのだろうが、俺たちはまるで警戒を解いていなかった。
放たれた弓矢を手甲で弾き、とびかかってきたヤツには顔面パンチで首を吹き飛ばした。
ランドンは風魔法で手足を切り裂き、コーディは短刀で胸を一突き。
あっという間にリーダー個体だけになった。
逃走を始めるリーダー。もちろん逃がすはずもなく、コーディは背負っていた弓でヘッドショットし、全滅させた。
「大したことねぇな」
俺たち直接階段には向かわず、まず北に向かう。
青い大きな鳥がいた。レアモンスターの極楽鳥だった。
俺たちは様々な身体強化がされているので、相当遠くから発見し、コーディの長弓から矢を放ってヘッドショット。
捌いて内臓を捨てて、休憩時に焼いて食べることにした。
持つのは俺だ。片手だろうがその辺のモンスターに負けることはありえない。
道中いろんなモンスターを倒し、西に向かい階段を下って次の2層目。すでに入ってから10時間ほどが経っている。
リュックサックから簡易テントを出して木の下でいったん野宿。
ここはいつまでたっても明るい。夜という概念がないようだ。
「ふぅ。足がいてぇや」
「まあ20キロは歩いたからな」
泉の水で濡らしたタオルで体を清潔にする。焼き鳥を食って満腹満腹。
しばらく交代で寝て、また進む。




