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ダンジョンマスター・ベリル ~みなさんの攻略をお待ちしています!~  作者: GANON
ダンジョン配信者 攻略開始

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18/60

ダンジョン配信者 ④

能海ナナさんもいらっしゃったらすみません。

 9層に召喚される下級神、これが決定した。


「低級神として、ネットアイドル、能海(のうみ)ナナ。彼女と対戦させるわ」


 このために呼ばれた、同じ配信者。芦田野ミライより2世代ほど先輩だ。

 

 もちろん芦田野ミライも知っている人間だろう。


 能海ナナ。銀色の長い髪が特徴的な彼女のthey tubeの登録者数は1000万。男性のみが視聴できるメンバーシップに入っている人間は100万人と言われる。


 透明感のある歌声が特徴的で、動画配信のときにはそれよりかなり低い声。そこのギャップが流行り、歌い手からバラエティ企画をするようになって、グッと視聴者が増えた感じだ。


 すでに結婚し子供もいるが、ファンには隠している。

 

 名実ともに日本では神といわれてもおかしくない存在だ。

 

 そんな人間を呼んだベリル。

 

 地球でのベースメントピットの評価はうなぎのぼりになるだろう。そして来た転生者を狩って評価を上げようという算段。

 

 ちなみに高額案件としてVR機器を使ってファンとの対戦ゲームと伝えてあり、実際、彼女のほうは負けようが何もおきない。ただ敗北の画面に移行する。

 

 負けて死ぬのは芦田野ミライだけだ。



 


 回復した配信映像は7層を攻略するミライ。


「うわ! すごいよ! 手のひらくらい大きい宝石が!!」


「あ~、こりゃ取れなさそう・・・・・・無理やりとったらあそこにいるドラゴンに気づかれちゃいそうだから、帰りにしようかな」


 今回、ユーベルトはドラゴンをまとめているだけで自身が戦うことはない。

 1体のドラゴンがミライから魔法を食らったが、かすり傷程度で転移して病院へ行った。

 それを見ていたユーベルトは監視室でげらげら笑って、


「あの坊主大口叩く割にアレかいな!! ほんとに若いもんはなってないのぉ! 死ぬまで気張れや!!」


 だそうだ。





 8層は夕暮れの森だ。

 本来は影に擬態している悪魔が配置されているのだが、今回は無し。

 9層に進んでもらわないとせっかく用意した舞台が台無しだから。


「ちょっと不気味なだけで何にもなかった~」


 迷うことなく8層の蓋つき階段を下ったミライは非常に明るい9層に驚いていた。

 そして目の前に立つ人物にも。


「―もしかして、能海ナナさん!?」

「初めまして、芦田野ミライさん! 今日は対戦よろしくお願いします!」

「え? どういうこと? どういうこと? どういうこと?」


 光輝くスタジアム、両者の後ろにReadyという花火が打ちあがる。

 3拍おいてGOの花火が打ちあがり、ナナが仕掛けた。

 長い杖を振るい、先端から出た虹色のビーム、それがミライへと放たれる。


「―くぅぅ!」


 ミライはすぐに両手を前に構え魔法防御壁を展開し、防いだ。自撮り棒は意地でも離さない。

 ナナはすぐに追撃の炎の壁をミライの左右に出して挟み込んだ。

 後ろにサッと飛んでかわすミライ。そのまま彼女は空中へ浮かんだ。


「いけー!! そうだ!! そこだ!! やれー!! 能海ナナ!!」


 ベリルは全力で能海ナナを応援していた。

 ナナはチート勇者が全力でやっても勝てるかどうかくらいの強さに設定してある。

 ナナがどれだけゲームが上手いかで勝敗は決まるだろう。

 これだけ応援するのは能海ナナが負けたら、10層でベリルが戦うことになるからだ。





 事態を飲み込んだようなミライ。魔法の応酬、どちらも全力でぶつかっている。

 そして・・・・・・

 ミライは空から墜落。

 ナナは光のすじとなり消えた。



「ごめんみんな、大先輩と引き分けだよ―ここで撤退するね。このあとの帰り道も配信するからみんな応援よろしく! 帰るまでがダンジョン攻略だからね!」


 ナナが体力切れ、ミライが魔法力切れ。

 引き分けで決着がつかず。


「面白くないわね」


 ビービー。ピッ。


『ベリル、ちゃんと芦田野ミライを地上に帰せよ? 彼女には多少持ち帰ってもらうことになった』


 ベリルに上からの通話だった。

 これでベリルは芦田野ミライを帰さなければならなくなった。

 少しの指示を受け、通話を切り、ベリルは頭を搔きむしってから、手をキーボードに振り下ろして破壊した。


「・・・・・・はあ。疲れた―」


 僕は何も言わずにカメラを置き、ベリルの肩を揉む。


「・・・・・・一週間休みとらせてよね」

「わかってる」


 束の間の10分休憩。

 そのあとはしっかりベリルも仕事に戻り、僕も密着取材を再開した。




「・・・・・・帰れるかな。モンスターが復活しちゃってたら無理かもしれない」


 芦田野ミライが言うように、本来ならしばらくしたらリィラやベリルが野生モンスターを補充するのだが、上からの命令があった以上、可能な限り危険を排除して帰らせる。


 8層は変わらず無魔。

 7層ではドラゴンを遠巻きに配置。変な行動をしなければ戦うようなことにはならない。

 そしてついでに宝石をいくつか壁から落として置き、拾わせた。3つあれば一生楽に暮らせる額になる。

 6層の雪原にはできたての足跡をつけておいた。たどるだけで上り階段にたどり着ける。


「誰か7層に下って行ったみたい。その人も無事に帰って来れますように!」


 まあ誰もいないのだが。

 5層。既に全機体の電源は切られ、何も動かない。

 4層。ここも誰もいない。芦田野ミライが上の階に去ってすぐに他の冒険者が降りてきたので、派遣のピクシーやホムンクルスは慌てて休憩室から外に飛び出していった。

 3層。また全裸でスーパーチャットを稼ぎつつ、魔力がだいぶ回復したようで、アンデッドをしばいて最上層まで抜けていった。


「帰ってこれたよ! みんなの応援のおかげで!」


 ベリルは配信画面を閉じ、上への報告のためにパソコンの画面とにらめっこを始めた。

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