ダンジョン配信者 ③
第5層。暴れる魔導機械の階層。
「シュート!!」
自撮り棒片手に、右手の指先からプチメテオを放つ芦田野ミライ。
人型魔導機械は胸を貫かれ、動力魔石が爆発! 再起動不能!
「っ、効かないよーだ!」
両腕がライフルになっている魔導機械の魔法弾を防御魔法で防いでいる。
クリップ式の銃をリロードしている隙に防御魔法を解いて、
「焼き尽くせ!」
手のひらから白い光が放たれる。
メグフレイムだ。
極高温の炎を受けた魔導機械は融けて爆ぜる。
プチメテオ。
虚空から出した特大魔力の塊をぶつける魔法。
メテオという名前から隕石を想像するだろうが、この魔法の名前の由来は、隕石ほどの速度で放たれるというところからだ。
時速にして約20万キロ。秒速にして約40キロという、光の速度と比較すれば遅いが、銃弾の秒速300メートルと比べると圧倒的に早い速度で打ち出されるのだった。
そしてメグフレイム。
炎の魔法の最上級魔法。
流石に太陽の1000万度とまではいかないが、約1万度という溶鉱炉より遥かに高い温度の白い火炎で敵を焼くという魔法だった。ただ、名前負けしているが。
上級ドラゴンは最低でもこの温度のブレスが吐けないと怒られる。
「・・・・・・はぁ。やっぱこの階層は転生チート持ちとは相性悪いわね~」
「もう軍の型落ち使うのやめようかしら。4世代も古いとくっそ安いからコスパいいと思ったんだけど」
そして6階層にたどり着いた芦田野ミライ。
アンチチートで配信は切れているので防犯カメラの映像だ。
「さっむ~い。アレ? アイテムボックスも使えない!?」
「魔法は・・・・・・炎よ! ―一応出るみたいだけど全然強化されてないや」
これでアイテムボックスに無詠唱で使える特権に魔法強化が消えた。
彼女の実力で6層を越えなければならない。
「しかも配信も切れてるし。全部独り言になっちゃうけど―まあいいか!」
「あ! もしかして!」
階段を上りなおす芦田野ミライ。
「みんなー! この先の6階層は配信できないみたいなのー」
「だから配信できるようになるまでちょっと待っててね~」
「2日待って配信が無かったら通報してね~。そのときはたぶん私はもういなくなってるけど」
5層に戻ることで配信を復活させていた。
彼女の安否確認や安全祈願にとんでもない額のスーパーチャットが飛びかっていた。
「8層のルピンにはまだ連絡つかないわけ?」
『魔力の届かないところにいるようで、おそらく地球かと』
「はあ。まあいいわ。今回は9層で戦ってもらわなきゃだしね」
サブとの通話で8層管理のルピンの行方を聞いているベリル。
彼には放浪癖があるので、いったん休暇になるとしばらく連絡がつかなくなるのだ。
しかし、非常に優秀で仕事のできるドッペルゲンガーを切ることはできないのだった。
ミライは5層でアイテムボックスから防寒具を出してセーラー服の上から着ていた。
それに体を温めるドリンクを魔法瓶水筒に入れて、ちいさなカバンの中に食料とともに携行していた。
30㎞もある雪原をむやみやたらに歩き回ったらまず凍死するので、目印に赤い塗料を来た道に垂らしていた。
たまにある休憩用洞穴で休み休み歩を進めること10時間ほど。ミライは暗い森の7層への階段にたどり着いた。
途中で他冒険者の凍死体から指輪を拾って。




