ダンジョン配信者 ②
順調に1日もかからずに3層にたどり着いた芦田野ミライ。
亡者たちを強力光魔法で駆除してどんどんと進んでいく。
「あ、邪眼は効かないよ~」
バジリスクの邪眼も事前にかけられたコンタクトのプロテクションに防がれたようだ。
ずんずん進まれ、しばらくの後、
触手プールの前に着いた。
「ありゃ、魔法がでない・・・・・・」
「周りに人もいないし、全部脱いでここを渡るよ~」
ミライは全裸になっている。またモザイク処理が必要になりそうだ。
監視室のハイオークたちは全員股を押さえていた。
「流石にカメラ切るよ~。BANされちゃうから~。ちょっと待っててね~」
「いやっ、くすぐったいよぅ」
そう言ったミライだったが、カメラを切らず、放送事故を装い、危ないところが映らないようにカメラを回していた。
ベリルが監視していたライブ配信のコメントが大盛り上がりだった。
どこかで拡散されたのだろう、どんどんと登録者数が増え、あっという間に250万人になった。ベリルが配信を見だしてからわずか半日ほどで8万人も増えていた。
「あ・・・・・・カメラ切れてなかった!! ねぇ、見ちゃった?」
「でも、BANされてないから大丈夫だよね―みんな、こんなにスーパーチャットありがとう!」
ベリルの額には青筋がたっていた。
今にもモニターを破壊しかねんばかりの形相だ。
「―ベリル、落ち着きましょう」
たまらず僕はベリルに声をかけた。
「こいつ殺して一週間休暇に入るわ。アンタが手をまわしなさいよガノン」
僕はOKのハンドサインで返した。
4階層。
既に以前のチート勇者同様、この区域の退避は完了していた。
派遣の魔員は使い捨てではないのだ。
「休むのにちょうどいい部屋があったよ!」
またタイゾウと戦うための大部屋でミライは腕輪からアイテムを取り出す。
チート勇者が好むキャンプ用品を次々取り出していた。
「さ、て、と。サブ、今回は7層と8層もちゃんとするからね」
『わかっています。7層のドラゴン、8層の悪魔たちも前回募集したものにはすぐに連絡がつくようにしてありますので』
「さすが。9層に呼ぶ神に思いついたやつがあるんだけど・・・・・・。こいつに連絡してみてくれる?」
通話でサブとのやりとりをするベリル。
ベリルは端末を操作、何かのURLをコピペしてサブとのチャットに貼り付けた。
さらにいくつかを箇条書きで送る。
『―面白そうですね。これも一つの神と呼ばれるものですし、いいんではないでしょうか』
「じゃあ、その方向でよろしく」
そうこうしているうちに、ベリルの勤務時間の終了時刻である17時30分になった。
ベリルは着替えて魔界居酒屋へ向かう。もちろん何か起きたらすぐに管理者の誰かから連絡を受けられるように。
僕との飲みの時間だ。
『お仕事お疲れさまでーす!』
『お疲れ様でーす!』
魔界の日本式居酒屋。ベリルお気に入りの店。
現在時刻は18時30分。
僕はベリルと夕食を摂っていた。
「今日の勇者には付きっきりでなくともいいのかい?」
「まあ一人だしねぇ。大したことはしないでしょ。6層で止まるだろうし、ちょっとしたら9層まで進んでもらわないとね」
運ばれてきたお通しと半額ビールに口をつけるベリル。
「せっかく高い金出して神を呼ぶ予定なんだから」
「せいぜい盛り上げてもらわないと。そんで見た日本からの転生勇者をウチでヤルってわけ」
「ふぅん。自信はあるのかい? 盛り上がるっていう」
「あるよ。ヤツの登録者が10万人増えてもおかしくないやつだ」
「じゃあ楽しみにしておくね」
「しておいていいわよ。まあサブに全部仕事投げちゃって悪いけど」
こうして夜は更けていく。




