ダンジョン配信者
もし、配信者で芦田野ミライさまがいらっしゃったらすみません。
『ビー、ビー、ビー。警告! 警告! チート使用者が進入しました!!』
「来たわね―」
午前9時。
緊急をつげるブザーが鳴る。各魔員用通路に設置された青いパトランプが一斉に回りだす。
ベリルはロッカーからスーツを取り出し、更衣室へと消えた。
戻ってくると、ベレー帽に深紅のスーツに身を包んだベリルになっていた。
「状況確認!」
11層のパソコンルームから端末に向かって叫ぶベリル。
『なんか動画撮影? してるんですよね。それもライブ配信』
パソコンに転送されてきたポーロからの映像を確認するベリル。
勇者と思わしきその人の顔は、身長150cmくらいの10代中盤に見える金髪ロングの女の子だった。
セーラー服のような恰好の彼女がチート使用者らしい。
入ってきたのは1人だけ。
「あ、ゴブリンだ! 怖ーい! 犯されちゃう~」
スマホをつけた自撮り棒片手に配信を行っているようだ。
そう言いながら、魔力を込めた手刀で2体のゴブリンの首をはねた女。
「(つд⊂)エーン 怖かったよぅ」
「あ、赤スーパーチャットありがと~。今日の休憩中に読み上げるからね~」
「舐めくさりやがって。絶対殺す」
ベリルはこういうぶりぶりした女が大大嫌いなようだった。
「空からいきま~す。みんな酔わないでね~」
ふわりと浮かんだ彼女。魔法のこもった地図と自撮り棒を手に一直線に階段へ飛んでいる。
2層の監視部屋に着いたベリルは、監視用の透明ドローンカメラを操り、1層にいる彼女を動画に撮ってアナライズにかけようとしていた。
「あ、誰かに見られてる! パンツ見てるんでしょ! へんた~い」
透明化していたカメラが魔弾で破壊された。
歯ぎしりするベリル。
「けっこう面倒な能力を持っていそうですな」
ポーロの指摘に涼しい顔でベリルは返す。
「まあいいよ。7層か8層で殺す」
ベリルはポーロに監視を続けるように伝え、5層のアンチチートシステムを起動させに行った。
鍵を4つ開け、6層のスイッチをオンに。
これで6層に到達してもインチキ能力は働かない。
ここを越えられるかで器が試される。
『サブ、今ダンジョンに入ってる金髪の女、過去のライブ配信から能力を特定してみてください』
そうチャットを送って、
ピロン。
『了解です。30分後に判明したことを送ります』
即連絡が返ってくる。
『芦田野 ミライ という名の配信者のようです。能力は物資召喚、魔力超強化、詠唱不要、魔力の泉、地球との通信、頑強が確認できました』
次のカメラを倉庫に取りに行っていたベリル。
「ふふふ、死にざまが世界中継されるなんていいじゃない」
『最高でプチメテオやメグフレイム程度が使えるようなので、ドラゴンか低級神の地帯で止まると思います』
「まあサブがそういうなら9層まで行かれそうだな~。上に相談しなきゃだな~」
ポリポリと頭をかいてベリルは思案しているようだ。
監視室のノートパソコンを魔界ネットにつなぎ、地球の動画配信サイトにアクセスして、芦田野ミライの配信をつけた。
2層。当然浮遊の魔法で突破される。
アイテムボックスの腕輪から取り出した、魔法の地図とコンパスにより、階段の位置へと一直線だ。




