警告 チート勇者が進入しました!
エ〇ァみたいな雰囲気です。
『ビー、ビー、ビー。警告! 警告! チート使用者が進入しました!!』
「来たわね―」
午前9時。
緊急をつげるブザーが鳴る。宇宙船内部のような、各魔員用通路に設置された青いパトランプが一斉に回りだす。
ベリルはロッカーからスーツを取り出し、更衣室へと消えた。
戻ってくると、ベレー帽に深紅のスーツに身を包んだベリルになっていた。
「状況確認!」
11層のパソコンルームから端末に向かって叫ぶベリル。
『現在1層を単車に乗って攻略中! 推定2時間で2階層目に突入されます!』
返答していたのは2階層のハイオークのポーロ。
「すぐに3層に連絡! 3時間後までに亡者たちで壁を作らせろ!」
『ラジャー』
ベリルの行動は早かった。
エレベーターで5層へと向かい、4つの鍵を開けた先にあるアンチチートシステムを起動させた。
この機能は第6層以降に適用できるシステムで、この世界にふさわしくないインチキ能力を無効にする機能だ。
5階層まではいい。
今、7階層までたどり着かれると非常に不味い。今はその下に誰もいないからだ。
それまでは気休めではあるが足止めをする。
「状況は?」
エレベーターで2階層の監視室へたどり着いたベリル。
ポーロ以外にも他のハイオークがせわしなくモニターのついた端末をいじっている。
ベリルの質問にポーロが答える。
「現在1層の真ん中あたりを単車で疾走中。数は4人、単車は2台。男性1名、女性3名」
「魔物や動物の被害は特にありません」
「まあ単車は3層で止まるでしょうが、このペースなら、あと3時間か4時間で3層には着くでしょう」
「3層の準備は?」
「強力な個体とバジリスクを放出するので近寄るなと言われております」
「足止めできたタイミングでいったんアナライズだ」
単車で走っていては、識別カメラにとらえ続けることが難しい。
2層か3層で止まっている時に、どんな能力を持っているか調べる必要があった。
2層で地図をチェックしている時に、透明化したドローンカメラで彼らを動画に撮った。
撮った動画を11層まで戻り、パソコンの専用アプリでチェックするベリル。
『物資召喚、物資強化、魔力増大、筋力増大』
「―思ったよりだな」
単車以外にどんなものを召喚できるのかわからないが、強固な壁で区切られている3、4層を無理くり突破はできないだろう。
ピッ。
『まずいです、やつら電動ドリルで壁に穴開けてます』
ポーロからベリルの端末に通話が入る。
「ボケカスどもが。こりゃあまた改装が必要になるわね」
こうなると入り組んだ3層もまっすぐ階段へと向かわれるだろう。
チート勇者は魔法の地図とコンパスで一直線に階段へと向かっていた。
「4層は捨てる。全員退避させるんだ」
『ラジャー。退避命令発令します』
ベリルは端末をサッと撫でて、
「サブ、起きてる?」
『警報で起きてます。今、7層以降の管理者を呼び戻し、日雇いドラゴンを選定中です』
「サンキュー。そのまま9層までの魔員を用意して」
『了解しました』
すぐにポーロからの通話に戻る。
『勇者どもは3層階段前に到達。4層は避難完了していますが、30分程度で突破されそうです』
2層の監視室。
「オレも避難でいいんすか? ベリルさん」
「魔法使いばかりだからアナタに分が悪すぎる。無理に戦って大けがする必要はないわ。ただの冒険者と戦ってちょうだい」
「ウッス」
タイゾウも避難対象だった。
勇者たちは4層のタイゾウと戦う大部屋で休憩することにしたようだ。
男が腕輪に触れ、組み立て式テントを2つ出した。
「こんなとこでも交尾か。人間はすごいねぇ」
揺れるテント。
8時間くらい余裕ができたようだ。




