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第93話 目玉焼き状態

 今年の冬の最低気温を記録した。我が家の室温が十七度となった。

 布団の中にいても寒さを感じる。起きると枕元に置いていたドテラを羽織り、ハムのところへ。

 案の定、ケージの中で丸まっていた。背中が小刻みに動いているのでまずは安心。いつものように餌の容器を取り出し、詰め込まれたおが屑を取り除く。餌も減っているのでバランスよく補充した。

 その容器はハムの横に置いた。軽く捻じ込んで安定させた。

 ハムは同じ姿勢を貫き、頑として起きないと背中で主張した。給水器の水を入れ換えてセットしても起きない。

 試しに、ハムちゃん、と呼び掛けた。二度、三度と猫撫で声を出したが効果はまるでない。息を吹き掛けても背中を震わすだけで起きようとしない。

 ちなみにケージの中には使い捨てカイロを収めた専用のケースも入れてある。表面を指で触れてみると少し効果が弱まっていた。

 そこで新しい物と換えた。十枚パックの一個を使い切った。残りは八個なのでかなり余裕がある。

 ケージに蓋(ふた)をして昨晩の食器を洗い、洗濯機を回した。

 朝食は軽めのパンにした。スライスチーズにミルのガーリックを掛けてこんがやりと焼き上げる。紅茶はダージリンとアールグレイを混ぜた独自ブレンドで淹(い)れた。少々、物足りず、ゆで卵を追加した。

 身体がほんのりと温まってきたところでハムの様子を窺うと、未だに目玉焼き状態で寝ていた。

 寒暖計を見ると少し室温が上がって十八度になっていた。


 ハムも生き物なので、そういう時もあるのだろう。


 洗濯機が濯(すす)ぎを始めた。軽く伸びをして洗いもの専用の籠を用意した。干す前に竿も拭かないと。

 窓から見える空はとても青かった。それだけで気分が上向き、今日が素晴らしい一日に思えた。

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