第92話 少しの変化
今日はいつも通り、午前六時に目が覚めた。それはいいのだが第一声は「寒い」であった。もぞもぞと布団から抜け出し、寒暖計に目を向けると十八度となっていた。
そうなるとハムが気になる。病気にもならず、食欲も旺盛。しかし、過ぎた時間を考えると安穏とはしていられない。
ハムスターの寿命は二年から三年と言われている。ハムは野良の時代があったので実年齢はわからないが、二年くらいは生きていると予想。今日明日の命とも受け取れる。
ハムの命が尽きればこの連載も終わる。段ボールハウスは解体してケージは納屋の奥でひっそりと眠りに就く。ペットショップで二代目ハムを買うことはない。
それもあってハムの更新が多くなっている。で、ケージの中にいたハムを起こさないように餌の容器に手を伸ばす。
何故か、急にハムは目覚めた。餌の容器に前脚を突っ込み、俺の指の匂いを嗅ぐ。かなり近いので噛まれるかもしれない。だが、手は引っ込めない。成り行きを見守った。
ハムは鼻をヒクヒクとさせただけで何もしなかった。身体に付いたおが屑を払い落とすような毛繕いを始めた。
その間に俺は容器を取り出し、中に詰め込まれた不要なおが屑と殻を取り除く。ハムは身綺麗な状態になるとケージを抜け出し、元気に走り出した。視界に収めながら餌を補充。
元の位置に戻したあと、給水器の水を入れ換えた。
気付いたハムはケージに戻って餌を食べ始めた。気に入ったものは容器から取り出して隅の方で味わって食べる。
いつもの行動に目を細め、俺は昨晩に使った食器を洗うことにした。
いつもと変わらない、そんな一日の始まりであった。




