第88話 寒い季節に思う
寒い夜が続く。日中は暖かくても日が暮れると急に冷え込む。室温が二十度に届かない日が常態化していた。当然、朝まで影響は残っている。
そこで目覚めると日課のように段ボールハウスへ向かう。使い捨てカイロを入れていても不安は尽きない。
今日も覗いてみた。ハムはケージの中でのんびりと毛繕いをしていた。カイロを収めた専用ケースの上なので思わず目を見張った。
ハムは柔軟な身体を活かし、後脚で耳の辺りを掻いた。終わると今度は前脚を舐めて顔の周りを何度も拭った。
すっきりしたのか。ケースの上から下りると餌の容器の側で、おが屑に埋もれて丸くなった。
その隙に乗じてケースの表面を指で触れた。じんわりと温かい。ハムのような小動物には適温に思えた。
使い捨てカイロの購入は少し早いと思ったが、そんなことはなかった。思い切って三か月分、まとめ買いして正解だった。
今後はほぼ毎日、カイロを使うことになるだろう。冬中はもたないので一回は買い足さないといけないが。
問題は俺である。徐々に寒さが厳しくなると暖房器具が頭にちらつく。
たぶん今年の冬は暖房器具をほとんど使わないと思う。国の補助金が無くなって十月から電気とガスの料金が撥ね上がる。ガスの使用量を減らすのは難しいが、電気は割と何とかなる。
冷蔵庫の温度設定を全て『弱』にした。待機電力を嫌い、あまり使わない電気器具はコンセントからプラグごと引っこ抜いた。
俺自身は重ね着で冬の寒さに抗うつもりだ。室内で息が白くなると限界が近いので炬燵くらいは使うと思う。
あと寒い日を想像するだけで熱燗が呑みたくなる。土曜日という日付けも影響しているのだろうか。
いや、朝間から呑まないが。日本酒のアルコール度数は高いし。
ビールならば度数は低い。確か冷蔵庫にロング缶が何本か入れてあったような……。




