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第87話 室温の変化

 昨晩から予兆はあった。そこそこに寒いと。

 そこで二階の自室から羽毛布団を持ち出し、一階の和室に持ってきた。

 昨晩は八合の熱燗を呑んでいたので寝付きは早かった。意外と目覚めは遅くて置時計を見ると七時を回っていた。

 上体を起こし、その寒さに驚いた。真っ先に寒暖計に目をやる。

 室温が十四度。秋の季節に酔っ払って公園のベンチに寝た感覚と似ている。

 そんなことはどうでもいい。俺は段ボールハウスに駆け寄った。

 ハムはケージの中にいた。最近では定番の丸まった姿で寝ている。じっと背中を見ると僅かに動いていた。

 凍死は免れた。念の為に入れた使い捨てカイロにも目を向けた。僅かではあるが乗った形跡を見つけた。専用のケースの上におが屑が無造作に置かれていた。

 ほっとしたと同時に身が引き締まる。

 これからは日中の温度を当てにしない。必ず寝る前にハムのいるケージに使い捨てカイロを入れる。うっかりミスを無くす為に酒量も少し減らそうと思う。

 酔い潰れて小さな命を失うと後々まで後悔しそうだ。この家には俺とハムしか住んでいない。小動物の命は短いとは言え、こちらの失態で失っていい命ではない。

 等と考えながら浄水器を通した水を飲んだ。その直後、口と鼻を掌(てのひら)で覆い、長々と息を吐いた。

 僅かに酒臭い。そこで牛乳と豆乳をブレンドしたものをロンググラスに注いで一気に飲み干した。


 一息入れて今日の執筆を始めるのだった。

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